2018 Fiscal Year Research-status Report
自閉症スペクトラム児の心の理論獲得のための視線の制御を用いた支援手法の開発
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25780540
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
宮寺 千恵 千葉大学, 教育学部, 准教授 (90436262)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 発達障害 / 支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は自閉スペクトラム症(以下、ASDと表記します)における心理特性を明らかにするとともに、ASD児・者に対する支援方法の提案を行うことを目的としています。これまで、主に学齢期のASDの子どもたちを対象とした支援のあり方について、当該年度は以下(1)の研究を進めてきました。 (1)ASDの子どもたちは社会性の問題が大きく、対人関係が築きにくいといった困難を抱えることが多くあります。これはASDの子どもたちの言語特性や会話スキルの特徴が大きく関わってきます。ASDの子ども1名を対象として会話スキルの向上を目指した支援と、その評価として会話分析を行いました。会話スキルに対する介入は1対1で行い、子ども自身の感情の変化に気づかせること、会話スキルに関する指導を行いました。評価は、共感性に関する自己評価と、初対面の大人との1対1の会話場面による会話分析によって行いました。介入の前と後による評価によって、介入の効果が認められたことを示しました(本成果は論文投稿中)。 さらに、ASD児・者のみならず、他の発達障害の子どもたちについてもパソコン課題ならびに調査において基礎的な知見をまとめてきました。当該年度の成果は以下(2)です。 (2)特別支援学校の高等部の生徒(知的障害のある方)を対象として対連合学習を行いました。単語ペアを提示する前にそれに付随する絵を提示することで、単語のイメージを喚起し、対連合学習課題の成績が上がることを示しました(本成果は修正採択済み)。 また、ASDをはじめとする発達障害の子どもたちを取り巻く環境や支援のあり方を検討しました。当該年度については(3)です。 (3)通常学級に在籍する発達障害のある児童に対する支援のあり方を検討するために、通常学級の先生を対象としてアンケート調査を実施し、一般的に行いやすい支援はどういう内容かについて尋ねました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究をまとめる段階に入っているため、進捗状況としてはおおむね順調であると考えました。当該年度(2018年度)に成果をまとめた論文は以下の2本です。1本目のASD児を対象とした会話介入の成果については、現在査読中であるため、今後ご意見をいただき修正が必要であると考えます。2本目の知的障害生徒に対する対連合学習課題の成果については、現在修正採択をいただいている状況です。 ASDの子どもたちに対する支援の在り方を検討していくうちに、ASDをはじめとする発達障害の子どもたちを取り巻く環境や支援のあり方の検討が必要であると考えました。そのため、2018年度より通常学級の先生を対象としたアンケート調査に取り組みました。通常学級において一般的に取り組みやすい支援とは何かを考え、それに基づいた支援のあり方や工夫の提案を行うことが重要であると考えます。また、それを踏まえて、ASDの子どもたちの対人関係スキル向上を目指す介入のあり方を検討する必要があると考えました。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は2019年度の終了を予定しております。今後の1年間で、推進したい事柄は以下の3点です。 (1)ASDの子どもたちを対象としたグループ活動を行い、対人関係スキルの向上を目指した取り組みを行いたいと考えます。ASDの子どもたちを主とした小集団の活動を行い、対人関係スキル等の向上を目指した支援について検討を進めることを予定しています。従来のソーシャルスキルトレーニングとは異なる方法で介入を行い、その前後の評定において効果を測定する予定です。 (2)通常学級の先生方を対象としたアンケート調査をまとめ、その成果を論文に投稿します。通常学級において一般的に行いやすい支援内容を整理し、通常学級で行いやすい支援に重点を置いた提案ができるようにしたいと考えています。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、本研究の遂行において、新しく研究を計画したこともあり、研究協力者の確保や準備をする上で想定したよりも時間がかかったことがあります。 次年度の使用計画は以下の通りです。第一に、研究の成果をまとめ、論文を投稿したいと考えております。論文の投稿にあたって英文校正を依頼していますが、それに使用する予定です。 第二に、データ入力等の謝金において使用したいと考えております。例えば、状況に応じて学生1~2名にデータの入力を依頼する場合があると考えています。
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Research Products
(1 results)