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2014 Fiscal Year Research-status Report

モアレ構造を雛形とした分子ネットワークの作製

Research Project

Project/Area Number 25790001
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

小幡 誠司  東京大学, 新領域創成科学研究科, 助教 (90616244)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywordsグラフェン / STM / 結晶成長 / モアレ構造
Outline of Annual Research Achievements

今年度はPt(111)上に作製した様々なモアレ構造を持ったグラフェンに対して鉄フタロシアニン(FePc)を蒸着し、モアレ構造およびグラフェンの欠陥などが結晶成長にどのような影響を与えるかについて走査トンネル顕微鏡(STM)およびX線光電子分光法(XPS)を用いて調べた。グラフェンはベンゼン200 L を1150 Kおよび1300 Kで曝露することによって作製した。1150 Kではドメインバウンダリや欠陥を多く含むグラフェンが生成する。一方で1300 Kでは大きなドメインを持った欠陥の少ないグラフェンが成長する。この2つの試料を比較することで欠陥やドメインバウンダリがFePcの成長へ与える影響も考察した。
1150 Kで作製したグラフェンにFePcを0.5 Hz/minで5秒間蒸着した場合は、1.5 nm程度のFePcの大きさにほぼ等しいドーナツ状の構造がグラフェン一面に見られた。またドメインバウンダリ上ではドーナツ状の構造が高密度で見られ、FePcの成長が優先して起こっていることが示唆された。またモアレ構造上での成長に関してはハニカム上のモアレ構造の特定の部分にだけドーナツ状の構造が観察され、モアレ構造によってFePcの成長を制御できる可能性が示された。しかしFePcを二層分蒸着した場合にはモアレ構造を反映したような成長は見られなかった。一方で1300 Kで作製したグラフェンでは0.5 Hz/minで5秒間蒸着した場合にはFePcに由来すると考えられるドーナツ状の構造は全く見られず、欠陥やドメインバウンダリが優先的な成長点になっていることが支持される。またモアレ構造を反映したような成長も確認されなかった。
以上からモアレ構造を利用した結晶成長の制御の可能性が示され、グラフェンの初期構造の影響についても考慮する必要があることがわかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

1150 Kで作製した欠陥やドメインバウンダリの多いグラフェンに対してモアレ構造がFePcの結晶成長に影響を与えていることが確認され、モアレ構造を雛形にした分子ネットワークの構成の第一歩までは達成されたと考えられる。特にモアレ構造の特定の場所にのみFePc由来と考えられるドーナツ状の構造が配置している様子をSTMを用いて直接、原子分解能で観察できたことは一定の意義があると考えている。
しかし、申請書に示したような様々な有機分子を利用し、成長を試み、それらを比較することでより詳細な知見を得るというところまでは至っていない。そのため、大きさやグラフェンとの相互作用が異なる複数種の分子を蒸着させて、その差異を調べることが急務である。また欠陥とモアレ構造の影響を完全に分別できているとは言えず、今後欠陥のない試料で低温で測定するなどして、この2つの影響の分離が必要である。さらにモアレ構造の周期による違いに関しても不明であるのでこの点に関しても研究が必要である。

Strategy for Future Research Activity

今後の方針としてはFePc以外の分子の蒸着を行い、その差異を調べることが第一目標となる。分子の大きさやグラフェンとの相互作用がモアレ構造上の成長にどのような影響があるかに関して知見を得ることは、本研究の最終目標である分子ネットワークの構造制御にとって必須である。具体的にはフラーレンやコロネンなどのパイ共役系を持った分子、中心金属をFeではなくCu等に変えたフタロシアニンなどを検討する。
さらに低温での測定および走査トンネル分光法を用いることでモアレ構造上の分子の電子状態を測定し、モアレ構造上の各位置における分子とグラフェンとの相互作用の違いについても調べる。また酸素を曝露し、成長サイトの違いが吸着能に与える影響についても検討する。モアレ構造を利用して様々な電子状態を持つFePcを作製し、同一条件で酸素吸着能を比較することができるため、カーボンアロイ触媒などの炭素系触媒におけるFeの影響に関して多くの知見を与えることができると考えられる。
またモアレ構造の周期による違いが不明であるので、周期による成長様式の違いについても研究が必要である。具体的にはグラフェンの成長条件を制御することで様々な周期を持ったモアレ構造をSTMの同一画像に捉え、比較する。
ごく少量のFePcを蒸着したときにはモアレ構造の反映した成長が見られたのに対して、1分子層を超える量を蒸着するとモアレ構造を反映せず、FePcの成長が一様に観察された。この間の蒸着量を細かく測定することでどの段階でモアレ構造を反映しなくなるのかに関しても調べ、成長モデルを組み立てることも必要である。
これらの知見を利用し、モアレ構造の雛形としての可能性を見極める。

Causes of Carryover

研究の進展が予想より遅れてしまい、予定していた海外での学会発表を取りやめたために旅費の使用額が少なかったこと。さらに薬品や消耗品の使用が予想より少なく抑えることができたため。

Expenditure Plan for Carryover Budget

走査トンネル分光法や低温でのSTM観察のために必要なホルダーやその周りの設備が必要なのでその購入にあてる。また成果を発表するための旅費や論文投稿費としても使用する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2015

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] モアレ構造を利用したGraphene/Pt(111)上での 鉄フタロシアニン成長2015

    • Author(s)
      小幡 誠司, 斉木 幸一朗
    • Organizer
      応用物理学会
    • Place of Presentation
      東海大学
    • Year and Date
      2015-03-13 – 2015-03-13

URL: 

Published: 2016-06-01  

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