2014 Fiscal Year Research-status Report
第一原理計算による強誘電体ナノ界面の巨大ラシュバ系探索とスピン流の起源解明
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25790007
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
石井 史之 金沢大学, 数物科学系, 准教授 (20432122)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | スピン軌道相互作用 / 酸化物 / 表面 / 界面 / ラシュバ効果 / グラフェン / 二次元電子ガス / 電気分極 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、研究計画の(1)強誘電体バルク系、(2)強誘電体表面・界面、(3)グラフェンでバイス構造の3項目について、研究を実施した。(1)のバルク系については、BaTiO3の分極回転に従い、スピンテキスチャも劇的に変化することを明らかにした。(2)の界面、表面については多くの進展が得られた。特に、強誘電体SrTiO3とLaAlO3の界面におけるラシュバ効果を調べ、原子変位がラシュバ効果に及ぼす影響を、内部電場、ラシュバ係数を見積もることで明らかにした。また、電気分極がラシュバ効果に寄与する系として、ZnOの表面について、大規模な薄膜の計算により調べた。水素終端の効果、表面緩和による電気分極の変化が表面状態のスピン分裂ならびに、運動量空間でのスピン構造を劇的に変化させることを明らかにした。(3)のグラフェンデバイス構造については、Ni(111)表面上のグラフェンについて、グラフェンーNi(111)間の構造の変化によるラシュバ分裂の変化を明らかにした。以上の研究に加えて、界面・表面に形成される二次元電子ガスに磁性不純物を考慮した系において、ゼーベック係数におけるベリー曲率の熱電能への寄与を調べた。研究成果の発表は、主なものとして、国際会議IUMRS-ICA 2014(Fukuoka)における招待講演"Spin-Orbit Effects in Ferroelectric Oxides: Towards Oxide Spintronics"をおこなった。また、その他として、国際会議講演7件、日本物理学会講演9件、査読付き論文8報の成果発表をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バルク系、表面・界面系、グラフェン系と並行して順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
大規模な第一原理計算により、デバイス構造を考慮した場合のラシュバ効果について明らかにする。
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Causes of Carryover |
成果発表予定であった、国際会議等に、大学業務のため参加できなかったためである。次年度以降、今年度までに得られた結果を発表するための旅費に使用する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
9月にスペインで開催される電子状態計算の国際会議に参加するための旅費に使用する。
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Research Products
(28 results)