2013 Fiscal Year Research-status Report
グラフェン/超伝導金属接合の強磁場下に於ける輸送現象の研究
Project/Area Number |
25790010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
津村 公平 東京理科大学, 理学部, 助教 (70583251)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | グラフェン / 超伝導近接効果 / 量子ホール効果 |
Research Abstract |
本研究では量子ホール効果が現れる程度の強磁場中に於ける超伝導近接効果の物理的理解を目的とし、本年度は試料作製プロセス技術開発を主として研究を進めた。 (1)NbN/グラフェン間のコンタクト形成技術開発:NbNとグラフェンとの良好な電気的接触を実現するためのプロセス開発を行った。NbN/グラフェン間に密着層としてTi(Pd)を挿入し、コンタクト形成を目指した。密着層成膜条件変化による接触抵抗変化を検討したが、両構造とも低い歩留まりでしか良好なコンタクト形成に至らなかった。要因の一つには以下(3)で述べるNbN成膜条件の問題も含まれるが、前記のTiやPdの蒸着条件にあまり依存しないコンタクト抵抗の低減手法を検討し、その条件調整を進めている。 (2)トップゲート電極付きグラフェン接合作製技術開発:次年度作製予定の超伝導体/トップゲート電極付きグラフェン/超伝導体接合素子作製のため、トップゲート電極付きグラフェン素子のプロセス検討と試作を行った。原子総堆積装置を用いてAl2O3ゲート絶縁膜をグラフェン上に成膜し、その上にTi/Auから成るトップゲート電極を作製した。輸送測定から、トップゲート、バックゲート両電圧によってグラフェンチャネル中の輸送特性を制御できていることを確認し、トップゲート電極付き試料作製プロセス開発は実現できた。 (3)NbN成膜条件調整:コンタクト形成に問題が生じる原因を探る中で、NbN成膜に問題が生じ、Tcが約9K程度に低下していることが判明した。これを受けて、NbNスパッタ蒸着条件出しを再度行った。Arスパッタリング条件を固定し、導入する窒素ガス流量を変化に伴うNbNのTcの変化を測定し、最適なNbNスパッタリング条件を見出した。この結果、Tc~14KのNbN成膜を可能になった。 次年度は以上の技術を発展させつつ、強磁場中での測定に研究の中心を移す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度はNbN/グラフェン間のコンタクト形成技術開発を実現する予定であった。しかし平成24年2~3月にかけて、キャンパス移転のために蒸着装置の解体・運搬を行った。それに伴ってチャンバー内の環境が変化し、NbN成膜条件が変化してしまった。チャンバーの到達真空度、NbNのスパッタ蒸着レートや蒸着膜の表面形態が移設前と変化無いことの確認は十分に行っていたが、低温測定を年度後半に実施したため本問題を認識するのが遅れた。既にNbN成膜条件出しは完了したが、当初計画外のことであったため遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
NbN/グラフェン間のコンタクト形成技術開発を継続して行う。これまではTi (Pd)の電子銃蒸着条件を制御することで良い条件を得ようとしたが、それのみでは良い条件を得るのが困難であった。今年度は試料構造とNbNスパッタ条件を調整し、コンタクト形成の安定化を図る。また測定に於いては、トップゲート付き試料を用いた干渉実験に力を入れ、超伝導近接効果によってグラフェンチャネル中に誘起された超伝導位相に起因した現象の観測を目指す。位相は超伝導現象を理解する上で本質的なものであり、それを実験的に検出・解析することで本研究目的の特異系に於ける超伝導現象の解明を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度予算はほぼ100%使用しており、僅かに残った残額は次年度に繰越す方が効率的であると考えた。 平成25年度からの繰越額は平成26年度予定予算に対して約0.2%と小額であるため、当初計画の通り予算執行する予定である。
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Research Products
(2 results)