2014 Fiscal Year Annual Research Report
高感度遺伝子トランジスタによる長鎖塩基配列解析を目指した機能性界面ゲートの構築
Project/Area Number |
25790012
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
三條 舞 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (60588797)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ピロリン酸 / ピリジルボロン酸 / 分子認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、電界効果トランジスタ(FET)の原理を用いた電気化学的測定によるDNAシーケンシング技術をベースに、トランジスタゲート表面の徹底的な造り込みによって、新しい手法に基づくFET型DNAシーケンサを開発する事を目的とする。ここではDNA伸長反応により放出されるピロリン酸(PPi)を特異的に認識結合する人工レセプターの設計・合成・分子認識能の評価を通して、最適化された機能性界面ゲートを構築する。具体的には、水溶性が高く、かつ多くの誘導体のなかでも顕著に低い酸解離定数(pKa)を有するピリジルボロン酸(PyBA)に着目し、 PPi認識レセプトーとしての有用性を検討した。11B-および31P-核磁気共鳴(NMR)測定の結果から、PyBAとPPiの間で可逆的かつ比較的安定な結合を形成することが確認され、特に酸性領域で安定なコンプレックスを形成することが明らかとなった。また質量分析(MS)測定の結果から、PyBAとPPiの結合においては、解離型(4価)のボロン酸基が安定な結合をもたらすことが判明した。さらに一リン酸、三リン酸、dATPをはじめ他のリン酸化合物とは殆ど結合を示さないことから、PyBAのPPiへの選択性は極めて高いと言える。このPPiを選択的に認識結合するPyBAレセプターの発見は本研究で初めて明らかにされ、実用的観点だけでなく、基礎学問の観点からも興味深い重要な知見を与えた。PyBAを用いた機能性界面ゲートの構築により長鎖塩基配列解析が達成された暁には、これまで以上に簡便、高速、安価に遺伝子配列解析を可能にする技術として、広く社会に貢献できると考える。
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