2013 Fiscal Year Research-status Report
ベースメタル合金を利用した新規プラズモニクス材料の探索
Project/Area Number |
25790014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
西島 喜明 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (60581452)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | プラズモニクス / 軽金属 / 合金 |
Research Abstract |
本年度はベースメタル合金の作製手法の確立及び、その光学的特性を評価するための実験システムの構築を目的として研究を実施した。合金材料の作製は真空蒸着装置を用いた、交互積層方法により実施した。蒸着条件として、アルミニウム表面の酸化被膜の有無が後に述べる光学的性質にたいして大きな影響を与えることが、実験的に明らかとなり、酸化被膜を除去するための適切な条件検討を行い、その条件を決定するに至った。このように確立した手法を用いて、様々な膜厚条件下における透過スペクトル・反射スペクトルを、ドルーデローレンツモデルによる最小二乗フィッティングを行うことにより、誘電定数する手法を開発した。これらの手法を用いて、純粋な金、銀、銅、アルミニウムなどの材料における誘電率を決定したところ、文献値と非常に良い一致を示す結果が得られ、装置が正常に動作していることを確認できた。そこで、本手法を銅とアルミニウムを主成分とした合金系に適応し、銅80%、アルミニウム20%の合金および、銅90%、アルミニウム10%の合金系において、誘電率をを決定するに至った。これらの結果を、プラズモニクスに関連する自由電子の振舞であるドルーデモデルで解析したところ、金属の電気伝導率が向上し、プラズモン共鳴に有利に働く要因が存在することが明らかになった。今後これらの手法のその他の組成の、銅-アルミニウム系合金へと適応し、一連の組成における合金プラズモニクスの振舞を明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目的であった、光学特性評価システムおよび、合金膜作製手法の確立を概ね完了することができたため。様々な組成の合金材料での計測まで到達できなった点もあるが、概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
様々な組成のベースメタル合金に対して、本手法を適応して、誘電率決定を行っていきたい。それにより、一連のベースメタル組成において、組成の変化に対してどのような光学的変化が起こるのかを調べ、体系的な知見を得る。また、X線結晶構造解析も導入し、薄膜の結晶状態と光学的な振舞との間の関連性を明らかにする。 次年度後半には、ベースメタル合金材料に、プラズモン共鳴以外の新たな機能(水素吸蔵機能や形状記憶機能)等を付加させるための特殊合金系についても検討を行う。これにより、安価な金属を用いてるという利点に加え、新しい光機能を付加した材料開発を行う。
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