2014 Fiscal Year Annual Research Report
低環境負荷材料CZTSナノワイヤを用いた太陽電池の形成と評価
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25790024
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
清水 智弘 関西大学, システム理工学部, 准教授 (80581165)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | CZTS / ナノワイヤ / ナノシリンダー / 太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では環境低負荷太陽電池CZTSの高エネルギー変換効率化を目指し、ナノワイヤ状に形成したCZTSを光吸収層とした太陽電池の作製・評価を試み、さらにナノワイヤ密度や形状を制御して、高エネルギー変換効率化のための指針を得ることを目的とした。 ナノワイヤ形成に先立ち、薄膜でのCZTSのメッキ条件や硫化処理条件の検討を行った。ここで、硫黄粉末や危険な硫化水素ガスを用いず、比較的安全な硫化炭素を硫黄源に用いてCZTSの形成する条件を見出した。これにより、安全・低環境負荷な形成方法でのCZTSの形成が可能となった。さらに、薄膜で得られた形成条件を元に、ナノホール中でのCZTS形成を試みたが、メッキで埋め込んだCZTS前駆体であるCuSn/CuZnの硫化熱処理中にカーゲンダルボイドが発生し、ナノワイヤが断線してしまう問題が発生した。これらカーゲンダルボイドは薄膜形成時にも観察されていたが、ナノワイヤの場合は基板との接触をボイドが完全に阻害してしまうため、深刻な問題となることが明らかとなった。そこで、ボイドが発生し難い構造として、予め形成したSiナノワイヤ配列上に、薄膜のCZTSを形成し、CZTSのナノシリンダー配列の形成を試みた。ナノシリンダーのサイズや間隔はSiナノワイヤの形成条件によりある程度制御が可能であることを確認した。さらに、同じ製膜条件で形成した、CZTS薄膜とナノシリンダー配列をEu溶液中で光電流測定を行い比較したところ、ナノシリンダー状のCZTS配列では薄膜と比べ、明瞭な光応答性を示すことを明らかにした。ナノ構造化による光吸収率の増加、さらには溶液界面との接触面積の増加などが光電流の増加に寄与したと考えられる。 本研究では、安全性の高いCZTS薄膜の形成法、ナノシリンダー配列構造の太陽電池応用提案、さらにはシリンダー構造を用いた高効率太陽電池の可能性を示した。
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Research Products
(10 results)