2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25790031
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長峯 邦明 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00551540)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 骨格筋細胞 / マイオカイン / センサ |
Research Abstract |
昨年度は、筋細胞に直接貼るセンサによるマイオカイン検出の可能性を調べるため、まずは抗原抗体反応を利用したマイオカイン補足ゲルシートを新たに開発し,(1)その性能評価,及び(2)筋細胞の運動とマイオカイン分泌の関連性を調べた。結果,筋細胞の運動期間に応じたマイオカイン分泌の検出、及びマイオカイン分泌箇所のマッピングに成功し,細胞へ直接貼るタイプのセンサゲルシートの有効性を示すことができた。本成果は、本研究の基盤となる技術の実証であり,今後の標識不要イムノセンサ開発への足掛かりを得ることができた。本成果の論文は学術誌へ投稿済みである。以下、成果の詳細である。 (1) マイオカイン補足ゲルシートの作製と機能評価 マイオカイン補足ゲルシートは、基板となるポリアクリルアミドゲル(厚さ1mm)、及びその表面に固定化された抗体修飾微粒子(直径5マイクロメートル)モノレイヤより構成される。抗体は、マイオカインの1つであるインターロイキン6(IL-6)を特異的に補足する。ゲルシートに補足されたIL-6は、蛍光標識2次抗体で可視化した。既知濃度のIL-6を作用させた結果,IL-6濃度に応じた蛍光シグナルを得ることができ,本ゲルシートがIL-6補足能を有することが確認できた。 (2) 筋細胞の運動とマイオカイン分泌の関連性調査 マイオカイン補足ゲルシートを筋細胞表面に貼ると,細胞近傍に抗体修飾微粒子のモノレイヤを配置できる。これにより、筋細胞から分泌されるIL-6をその場で補足でき、蛍光標識2次抗体で可視化することでIL-6分泌の検出、及びマッピングが可能となる。結果、1Hzの短縮運動の期間に応じてIL-6分泌は増加するという、過去の文献で示されているIL-6分泌挙動と同様の挙動を検出できた。また、筋細胞周囲におけるIL-6の分泌を可視化するという、これまでに無い成果も得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、筋細胞に直接貼るセンサによるマイオカイン検出の可能性を証明できたことは大きな進捗である。特に、本研究で目的としていた筋細胞の運動とマイオカイン分泌の関連性を計測できたことは評価に値する。更に、マイオカインの分泌箇所をマッピングするというこれまでにない成果も得られ、当初計画していたマイオカインの「検出」を目的としたデバイスに加えて新たな筋細胞評価デバイスを構築できたことは予想外の成果である。 また、デバイスを含む実験全体のセットアップ(電気刺激装置、培養用恒温槽へのセッティング等)も今年度構築できたことから、今後のデバイス開発が迅速化されたと言える。以上より、現在までの達成度はおおむね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、申請書に示した方針で標識不要免疫センサフィルムの作製に取り掛かる。その後、運動筋細胞からのIL-6分泌計測を実施する。 加えて、昨年度の研究の中で必要性が明らかとなった「ウエット接着法」の開発にも着手する。筋細胞ゲルとセンサゲルを貼り合わせて使うセンサシステムでは、両者を適切に接着しないとセンシング太細胞の位置がずれてしまい、定量評価が困難となる。このような、濡れた界面を接着するウエット接着技術の開発は近年活発化しており、生体組織・細胞へのデバイス固定等への応用を目指している。本研究においても最近、フィブリンを接着剤とする合成ハイドロゲルのウエット接着法を確立しつつあり、本センサと筋細胞間の接着への可能性も見出している。接着原理、接着力等の基礎特性を評価しながらセンサ構築へ応用していく。
|