2014 Fiscal Year Annual Research Report
スピネル型結晶構造を有する室温動作ハーフメタリック強磁性トンネル接合の創製
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25790039
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
新関 智彦 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 助教 (40567749)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 酸化物 / スピネル / フェライト / マグネタイト / ハーフメタル / トンネル磁気抵抗効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
スピネル型結晶構造を有する室温動作ハーフメタリック強磁性トンネル接合の創製に向けて、その要素技術の確立を目指した研究を行った。 これまで、高品質なスピネル型フェライト薄膜を作製する上で基板や各層の結晶性には注目されてきたが、その平坦性にまで踏み込んだ研究例は少なかった。今回、MgO基板の高温熱処理を行い、不純物の析出を極力抑えながら表面を原子層レベルまで平坦化することに成功した。さらに、その上部に前年度見出したMgTi2O4 (MTO)下地層を用いてマグネタイト(Fe3O4)薄膜を形成し、その作製条件を最適化した。その結果、平均自乗面粗さが0.1 nmという超平滑な表面を有する高品質なFe3O4薄膜を得た。続いて障壁層としてMTOを作製し、その結晶性および表面平坦性を調べた結果、下部のFe3O4と同等の平坦性を保っていることが分かった。上部Fe3O4層は下部Fe3O4と下地の材料が共通であるため、作製条件の最適化は不要である。以上よりスピネル型強磁性トンネル接合を構成する各層に関して十分な平坦性を実現することに成功した。 一方、MTO障壁層を形成した場合、下部Fe3O4の磁気特性が著しく劣化することが分かった。この原因としてMTOの成膜に際し高温の基板加熱が必要であるため、Fe3O4中のFeイオンを他のカチオンが置換している可能性が疑われた。そこで、この試料を質量分析によって調べた結果、MTO中のMgが拡散し、下部Fe3O4の磁気特性を変化させていることが判明した。今後はMgを含まないか、含んでいてもより低温での形成が可能な障壁層材料の探索が不可欠であると分かった。 最後に上部Fe3O4の磁化をピン止めする層としてCoFe2O4薄膜の研究も行い、その磁気異方性、面内磁化膜の形成法、接合のキャップ層であるPtとの二層膜の特性についても調べ、各種の知見を得た。 以上の結果を複数の論文にまとめ、Applied Physics Letters誌等に掲載された。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Vacancy-site existence in Fe-rich cobalt ferrite epitaxial thin films revealed by x-ray magnetic circular dichroism2015
Author(s)
Tomohiko Niizeki, Yuji Utsumi, Makoto Myoka, Hideto Yanagihara, Jun-ichiro Inoue, Goro Shibata, Toshiharu Kadono, Masako Sakamaki, Kenta Amemiya, Tsuneharu Koide, and Eiji Kita
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Journal Title
Applied Physics Letters
Volume: -
Pages: -
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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