2013 Fiscal Year Research-status Report
ナノ構造を有する金属/誘電体積層膜を用いた増強場の誘電体層への局在化に関する研究
Project/Area Number |
25790046
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Toyota Central R&D Lab., Inc. |
Principal Investigator |
松井 崇行 株式会社豊田中央研究所, 先端研究センター 戦略先端研究部門 ナノ構造デバイスプログラム, 研究員 (10418452)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | プラズモン / Fourier modal method |
Research Abstract |
薄膜シートにナノ構造を付与し,効率的に垂直入射波を薄膜中に局在する手法について検討を行っている.現在まで,ナノ構造を用いた局在メカニズムを効率的に解析するために,構造中の電磁場を複数のモードの足し合わせで表現可能な,Modal Methodを用いて電磁波の挙動を解析する計算コードの実装と検証を行ってきた. 実装を行った計算手法はFourier Modal Method(FMM)と呼ばれる方法である.FMMを用いて金属ナノ構造の計算を行うためには,計算中で周期構造の誘電率分布を表現するToeplitz行列において,いくつか工夫が必要である.これは例えば,1次元周期構造の計算のおいてはTM偏光時に,逆行列処理を施すことで,計算の収束性が向上する処理にあたる.2次元周期構造に関しても,同様の処理を施す必要があるが,実装の為には,2つの異なる軸の情報を含んだToeplitz行列に対し,片軸のみに逆行列処理を施す必要がある.現在まで報告されている研究において,この手法に関する記述はあるものの,実際の実装方法については述べられていなかった.今回,本研究において新規に片軸のみに逆行列処理を施す実装方法を見出し,既報告文献の計算結果と比較することで,実装方法の妥当性を確認することができた. 更にこの計算手法を用い,薄膜シート状のナノ構造の解析を行った.現在まで,金属ホールアレイ構造上に液晶分子が存在する際に,液晶材料の配向を制御することで,金属上の液晶中に電磁場を局在するとともに,0次の透過光を増強する方法を見出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在まで研究の進捗はおおむね順調である.個別のモードに分解し,構造の電磁場応答を記述する計算手法の実装が完了したことにより,物理的解釈と組み合わせた計算が実行できている.当初予定していた第1段階である計算手法の確立が一段落したことから,今後は金属に近接する誘電体中に電磁場を効果的に局在させ,有効に利用する段階へとシフトする.現在までの検討により,金属周辺の電磁場の増強には,金属を含めた構造の吸収量と金属の複素誘電率が重要であることがわかっており,金属周辺での増強度の上限が何に起因するかが明らかになってきている.大きく残る課題としては,増強電磁場を有効に活用する為に,最終的にどの程度が熱による失活に消えるかの見積もりを行うことである.
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Strategy for Future Research Activity |
研究目標を達成する為に,今後推進する方策は大きく次の2つである.まず一つ目は,今回実装を行った計算手法を用い,垂直入射電磁波を効率的にナノ構造中に閉じ込める構造の探索を引き続き行うことであり,もう一つは増強された電磁場を有効に活用する為に,増強電磁場の半導体構造への影響に関するメカニズム解明を行うことである.後者に関しては,現在広く文献による調査を行っており,引き続き海外の有力な研究者への訪問とディスカッションを計画している.
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