2013 Fiscal Year Research-status Report
液浸ラマン分光法によるIII-V化合物半導体最表面の異方性応力評価技術の確立
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25790049
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
小瀬村 大亮 明治大学, 研究・知財戦略機構, 客員研究員 (00608284)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 化合物半導体 / パワーデバイス / 液浸ラマン分光法 / 表面増強ラマン分光法 / 異方性応力 / フォノン変形ポテンシャル |
Research Abstract |
本課題を達成するために初年度ではまずIII-V化合物半導体の物性評価について種々手法を用いて評価した。さらに、III-V半導体最表面評価手法を考案した。 試料としてGaN/Si, GaN/Al2O3を準備した。可視ラマン測定を行った結果、明瞭なE2high, およびA1LOピークを確認した。E2highモードのピーク位置より求めたGaN/Si, GaN/Al2O3の等方性2軸応力は、それぞれ-335, 685 MPaとなった。応力計算ではフォノン変形ポテンシャル(PDPs)として文献値の一つを用いたが、文献ごとにばらつきがある。本研究で、正確なPDPsの導出を試みる。 Cathodoluminescence (CL)を用いてGaNにおける電子直接遷移に起因する発光を観察することができる。この発光のエネルギーから応力、歪の情報を抽出することが可能であり、ラマンの結果との対応関係を検討することによりGaNのバンド構造に関する知見を得ることができる。CL測定を行った結果、試料ごとにピーク位置、半値幅が異なった。ピーク位置は前述の通り応力起因であると考えられるが、半値幅については文献などで明確な説明は見られないが、本研究結果より不純物に依存していることを見出した。 GaNの最表面を評価するために、液浸と組み合わせた表面増強ラマン分光法(SERS)を行った。試料上に銀ナノ粒子を塗布、スピンコーティングした後、焼結して銀ナノ粒子層を形成した。SERSスペクトルにおいて、信号増強、半値幅の減少、低波数シフトが確認され、TEM観察結果などの考察より試料最表面の情報が含まれていることが明らかとなった。SERSにより励起可能な複数光学フォノンを用いて、次年度にPDPsの導出を試みる。そして、得られたPDPsを用いてIII-V化合物半導体最表面の異方性応力評価手法の確立を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究計画の大きな柱は①III-V化合物半導体のPDPsの導出、②最表面評価手法の確立である。②について、銀ナノ粒子を用いたSERS測定を行い、GaN最表面評価を達成した。一方、①については、PDPs導出まで至らなかった。PDPsの導出の前段階として、本研究ではGaNの基礎物性を詳細に評価した。正確なPDPsの導出に必要な情報(ピークの同定、応力、発光エネルギー、欠陥など)が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は概ね研究計画通りの進捗が得られたので、次年度についても研究計画通りに進める。つまり、初年度課題であったIII-V化合物半導体のPDPsをこれまでに得られた成果を基に導出して、さらに初年度で既に達成した最表面評価手法を用いてIII-V化合物半導体最表面の異方性応力評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
交付申請書で記載した応力印加試験器\500,000について、デモ機を用いて予備実験を行ったところ、所望の応力印加を達成できないことが判明した。そこで、シグマ光機に設計を依頼して作製したところ、約\310,000となり、安価に購入することができた。III-V化合物半導体として研究計画ではGaN, AlN, InN, GaAs等を購入予定としていたが、初年度はGaN試料を購入するに留めた。非常に注目を集めているGaN試料について、さらに多くの水準が必要になる可能性があることを考慮した。 残額分については、研究の進捗に合わせてIII-V化合物半導体試料を追加購入する。また、初年度の研究でCLを用いた評価手法が有効であることが分かったので、装置利用料金について計上する予定である。
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Research Products
(5 results)