2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規ワイドギャップ半導体ScNのハライド気相成長法による高品質結晶成長
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25790050
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
大島 祐一 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (70623528)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 窒化物半導体 / 熱電変換 / 磁性半導体 / 太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 残留キャリアの起源 前年度の検討により、ScNの高品質単結晶膜の成長が可能になった。それらの残留キャリア濃度は、従来の報告に比べて2桁程度と大きく減少していた。また、不純物濃度も2-3桁の減少が見られた。しかし、残留キャリア濃度と減少した不純物濃度とは相関がみられず、残留キャリア濃度の起源は未だ不明のままである。そこで、残留キャリアの起源に関する知見を得るために、キャリア濃度の温度依存性を室温から液体窒素温度まで調査した。すると、キャリア濃度は最初は温度低下に伴って減少するが、やがて一定となり、試料によってはその後逆に若干の増大を示した。同様の現象は界面付近に高キャリア濃度の縮退層を有するGaNやZnOでも報告されている。今回の場合も、膜厚が大きいほどキャリア濃度が小さく測定される傾向も併せて考えると、そのような界面縮退層の存在が示唆される。界面縮退層の影響を見積り、ScN膜本体の特性を抽出するには、さらに液体ヘリウム温度までキャリア濃度の温度依存性を測定することが有効であり、現在検討中である。 (2) 熱電特性評価 ScNは、ZT=0.3(800K)という遷移金属窒化物としては非常に大きなが性能指数が報告されており、熱電変換材料としても期待できる。そこで、得られたScN膜の熱電特性を評価した。その結果、室温において約-200uV/Kと比較的大きなゼーベック係数を示すことがわかった。具体的な性能指数の測定は今後の課題である。 (3) 光触媒機能の検証 ScNは約2.1eVの光学バンドギャップを有し、光触媒としての可能性がある。そこで、本研究による高品質ScN薄膜をメチレンブルー水溶液に浸漬し、太陽光照射下で退色の様子を調べた。その結果、ScN薄膜を浸漬した溶液は、溶液だけの参照試料と比べて明らかに退色が早く、光触媒としての機能を有する可能性が示唆された。
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