2013 Fiscal Year Research-status Report
高分子強誘電体極薄膜を用いた新規強誘電性トンネル接合素子の創製
Project/Area Number |
25790053
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中嶋 宇史 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (60516483)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 不揮発性メモリ / 高分子強誘電体 / 超薄膜 / トンネル伝導 |
Research Abstract |
本研究は、自発分極の双安定性を利用した従来の強誘電体メモリとは異なる、新しい原理に基づいた強誘電性トンネル接合型(Ferroelectric Tunnel Junction:FTJ)メモリの原理検証ならびに特性向上を目的としている。このメモリは、強誘電体膜中のトンネル伝導性が、自発分極の向きによって変化することに注目した抵抗変化型のメモリであり、集積性と高速性を兼備可能なメモリとして期待できる。しかしながら、ナノメートル級の強誘電性極薄膜の作製においては電極種をはじめとする様々な制約があり、その機構解明や特性向上に関する研究においては多くの課題が残されている。そこで本研究では、電極種によらず平滑かつ極薄膜化が可能な高分子強誘電体材料に注目し、本材料を用いたFTJメモリの特性検証と、動作メカニズム理解に向けた研究を進めている。平成25年度は、高分子FTJ素子の作製と特性検証に関する研究を行った。複数の金属電極上に膜厚15nm以下の ポリフッ化ビニリデン/三フッ化エチレン共重合体膜をスピンコート法によって形成し、結晶化条件を最適化することで、ピンホールがなく平均粗さが5nm以下の均質な薄膜の形成に成功した。これらの試料の強誘電分極反転特性をD-Eヒステリシス測定により評価したところ、絶縁破壊等なく正常な分極反転が可能であることを確認することができた。また、分極反転によって制御された極性によって、膜の電気伝導性が10倍~100倍程度変化することが確かめられたことから、今回作製した試料がFTJメモリとして動作可能であることが実証できたと結論づけた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究では、高分子強誘電体材料を用いたFTJ素子の基本動作を確認することを目的としており、その点においては計画通りの成果を得ている。特性の向上と明瞭なトンネル伝導性が現れる10nm以下の極薄膜試料の形成にも取り組んでおり、原子レベルで平坦なアモルファス金属電極を採用することで、局所的にではあるが平均ラフネスで1nm以下の超平滑膜の作製にも成功した。このような薄膜をマクロな面積にわたって形成することについても引き続き検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度において作製したFTJ素子において、金属電極種によってその強誘電性ならびに電気伝導特性に違いが現れており、その原因解明を進めるとともにFTJの特性を支配する要因について明らかにしていきたいと考えている。また、アモルファス電極を用いることでさらなる薄膜化と特性向上が期待できるため、その実現に向けた研究についても推進させる予定である。
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Research Products
(7 results)