2013 Fiscal Year Research-status Report
イオン誘起微小電荷による炭化ケイ素半導体デバイスの破壊機構解明
Project/Area Number |
25790076
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
牧野 高紘 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究員 (80549668)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Single Event Burnout / 炭化ケイ素 / ショットキーバリアダイオード |
Research Abstract |
パワーデバイスに放射線が入射することで誘起される微小電荷の流れが原因となる破壊現象が問題となっている。その微小電荷の流れ、つまり破壊に至るまでのダイナミクスについて実験とシミュレーションの両面から明らかにし、パワーデバイスの放射線誘起破壊現象対策への指針を示すことが本研究の目的であるる。 25年度の研究計画では、半導体材料上に金属電極を設けた最も基本的な構造、且つ、パワーデバイスに多く用いられているショットキーダイオードについて、1V~1kVまでの逆方向電圧を印加し、各電圧における(増幅された)イオン誘起電荷量を測定する。この収集量と印加電圧の関係より、イオン誘起電荷の増幅過程を観測する事を挙げた。そして、これらの現象を実際に観測する事に成功した。その現象は、国際会議で発表し、投稿論文としても出版された。加えて、エネルギーの異なるイオンを用いて、初期にデバイス内に生成される電荷量とその増幅率の関係も測定済みであるが、後述する測定系の制限から物理的解釈には至っていない。 現状の測定系の電荷敏感型アンプの最大印加可能電圧が1kVであるために破壊現象の前兆現象は確認出来ているが、実際破壊現象は観測できていない。そこで25年度は、最大3kVまで印加可能な電荷敏感型アンプを有する測定系の開発を行う予定であった。しかし、入射イオンの種類やエネルギーを変化させることで、イオン誘起破壊の前兆現象と考えられる電荷増幅に対して支配的なパラメータを検討・抽出した結果、デバイスのエピタキシャル層の厚さと、イオンのデバイス内での飛程の関係が最も支配的で重要であると推察された。研究の効率化を考え、25年度は3kV級アンプの作製を行わず、破壊現象の観察より前述のパラメータを考慮した前兆現象のシミュレーションと確認実験を推進することとした。本結果を基に、アンプの作製を再度検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度の研究計画として、半導体材料上に金属電極を設けた最も基本的な構造のショットキーダイオードについて、1V~1kVまでの逆方向電圧を印加し、各電圧における(増幅された)イオン誘起電荷量を測定する。この収集量と印加電圧の関係より、イオン誘起電荷の増幅過程を観測する事を挙げた。そして、これらの現象を実際に観測する事に成功した。その現象を、国際会議で発表し、投稿論文としても出版された。測定系の制限から物理的解釈には至っていないが、エネルギーの異なるイオンを用いて、初期にデバイス内に生成される電荷量とその増幅率の関係も測定済みであり、現象の観察という観点ではほぼ達成出来たと言っていいと考えている。 現状の測定系の電荷敏感型アンプの最大印加可能電圧が1kVであるために破壊現象の前兆現象は確認出来ているが、実際破壊現象は観測できていない。そこで25年度は、最大3kVまで印加可能な電荷敏感型アンプを有する測定系の開発を行う予定であった。しかし、入射イオンの種類やエネルギーを変化させることで、イオン誘起破壊の前兆現象と考えられる電荷増幅に対して支配的なパラメータを検討・抽出した結果、デバイスのエピタキシャル層の厚さと、イオンのデバイス内での飛程の関係が最も支配的で重要であると推察された。研究の効率化を考え、25年度は3kV級アンプの作製を行わず、破壊現象の観察より前述のパラメータを考慮した前兆現象のシミュレーションと確認実験を推進することとした。これらは先行的な研究への取り組みであり、研究計画に反するものではないが、記載した予定を外れたことをして「おおむね順調」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
イオン照射実験結果より、イオン誘起破壊の前兆現象と考えられる電荷増幅に対して支配的なパラメータを検討・抽出した結果、デバイスのエピタキシャル層の厚さと、イオンのデバイス内での飛程の関係が最も支配的で重要であると推察された。研究の効率化を考え、25年度は3kV級アンプの作製を行わず、破壊現象の観察より前述のパラメータを考慮した前兆現象のシミュレーションと確認実験を推進することとした。本結果を基に、アンプの作製を再度検討する。確認実験のためのサンプル作製は進めており、26年度中に実験データ取得予定である。平行して、シミュレーションを進めていき、その結果を基に適宜実験条件を最適なものに変更していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
イオン照射実験結果より、イオン誘起破壊の前兆現象と考えられる電荷増幅に対して支配的なパラメータを検討・抽出した結果、デバイスのエピタキシャル層の厚さと、イオンのデバイス内での飛程の関係が最も支配的で重要であると推察された。研究の効率化を考え、25年度は3kV級アンプの作製を行わず、破壊現象の観察より前述のパラメータを考慮した前兆現象のシミュレーションと確認実験を推進することとした。 研究の効率化という観点で,シミュレーションが有効だと判断したため、まずシミュレーションによる研究を中心に進めていき、その結果を基に適宜実験条件を最適なものに変更していく。シミュレーションを行うためには高性能計算機が必要であり、その購入に充てる。また、実験においてもエピタキシャル層の厚さを変えた多数のサンプルが必要となることが予想される。以上、実験に必要なサンプル数、条件に注意しつつ測定用アンプの作製、サンプルの材料費と効率的に振り分ける.
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