チェレンコフ光計測によるシングルショット縦方向位相空間測定システムの開発

2013 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 25790078
• Research Category: Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
• Research Institution: Tohoku University
• Principal Investigator: 南部 健一 東北大学, 電子光理学研究センター, 技術専門職員 (00422072)
• Project Period (FY): 2013-04-01 – 2015-03-31
• Keywords: 縦方向位相空間 / シングルショット計測 / チェレンコフ角

Research Abstract

本研究課題は、チェレンコフ光の放射角が電子ビームのエネルギーと相関があることを利用し、エネルギー分析電磁石とドリフト空間を必要としない、低エネルギー領域に特化したシングルショット計測が可能な縦方向位相空間測定システムの開発とその原理実証を行うことを目的としている。今年度は原理実証実験に使用する光学系を設計し、原理的な測定精度と電子ビームのパラメータによる測定精度への影響についてレイトレース計算を行い評価を行った。その結果、設計した光学系が縦方向位相空間を可視化するのに十分な精度（時間分解能 ：0.74ピコ秒、運動量分解能 :3keV/c）を有していることが確認でき、測定精度をより向上させるためにはチェレンコフ光発生用ラジエーター上で電子ビームを水平方向に絞る必要があることが分かった。また各光学素子の設置誤差の影響についても同様にレイトレース計算を行い評価した結果、測定精度に最も大きな影響を及ぼすものは、チェレンコフ角をビーム軸上の位置情報に変換する放物‐球面鏡（TBミラー）のビーム軸方向の設置誤差であることが明らかとなったが、横方向の設置誤差も無視出来ないことが判明した。これらの結果を踏まえ、レーザー光を用いた光学系のアラインメント用テストベンチを東北大学電子光理学研究センター加速器準備室内に構築するとともに、光学部品の精密位置調整用ステージを準備し、レーザー光を用いた光学系の評価を開始した。また本測定システムの中で最も重要な部品となるTBミラーの詳細設計を行い作製に着手した。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

光学系の設計はほぼ完了し現在作製中であるため概ね予定通りであるが、チェレンコフ光発生用ラジエーターの設計がまだ未完であるため、次年度に設計することとした。

Strategy for Future Research Activity

今後は、（１）光学系のオフライン試験、（２）チェレンコフラジエーターの評価、（３）原理実証実験を行う。（１）光学部品の面精度や設置精度は、測定結果に直接影響するため使用する光学部品をオフラインで試験し性能を評価する。（２）開発したチェレンコフラジエーターの真空試験を行い、ビームラインに設置する準備を行う。（３）高周波電子銃が設置されているt-ACTSにおいて、電子銃から引き出された電子ビームを用いて原理実証実験を行い、シミュレーション結果と実験結果を比較し検証を行う。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

測定システムの中核となる、TBミラーの製作に時間を要し、納品が次年度になってしまったため。
TBミラーの製作費として864千円、精密位置調整用ステージ購入費として402千円を予定している。