2014 Fiscal Year Research-status Report
高放射線場における放射性エアロゾルの生成起源とそのメカニズムの解明
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25790081
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
関本 俊 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (10420407)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 放射性エアロゾル / フェルミ国立加速器研究所 / 軽核 / 加速器質量分析 / Al-26 / Be-10 |
Outline of Annual Research Achievements |
H26年度は、前年度に、放射性エアロゾルのサンプリング・分析のため、米国フェルミ国立加速器研究所のMeson testビームラインにおいて、120 GeVの陽子ビームを照射した純金属のターゲット(Al, Co, Ni, Cu, Y, Au)中に生成した軽核:Be-10, Al-26の生成断面積の測定を行った。得られた測定結果と過去の報告例から、Be-10, Al-26の生成断面積の入射エネルギー依存性、標的核依存性、に関して考察した。尚、Be-10, Al-26の測定は、東京大学タンデム加速器研究施設における加速器質量分析(AMS)により行った。また照射試料をAMSに供するための化学処理(Be, Alの分離)は京都大学原子炉実験所のホットラボラトリにおいて行った。 Be-10に関して2つの生成断面積(ターゲット:Y, Au)を、Al-26に関して5つの生成断面積(ターゲット:Co, Ni, Cu, Y, Au)を測定した。Be-10に関して、入射エネルギーが数GeV以上の場合、標的核の質量数が増すにつれて生成断面積も増加する傾向が見られた。またAl-26の生成断面積と入射エネルギーが数百MeVの場合のBe-10の生成断面積は、標的核の質量数が80程度以下において、その質量数が増すにつれて生成断面積は減少し、標的核がイットリウム(A = 89)より重くなると、その質量数が増すにつれて生成断面積は増加に転ずる傾向が見られた。これらの傾向から、本研究では、求められた軽核の生成断面積に結合エネルギーや標的核の原子核半径が関連していることが示唆された。 加速器ターゲット室内で生成される放射性エアロゾルには、Be-7, Na-22, Na-24などの軽核を含むものが多いことが知られており、今回、生成断面積を測定したBe-10, Al-26を含む放射性エアロゾルも多く生成していることが期待される。今後、測定を行う予定である、加速器ターゲット室内の放射性エアロゾルの種類、量、粒径及びその成長速度に関する情報は、遮蔽分野及び内部被ばくの観点から、重要な知見になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の観点から、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断する。 米国フェルミ国立加速器研究所のマシンの稼働が遅れ、予定していた実験を遂行できなかったが、前年度に放射性エアロゾルのサンプリング・分析のため120 GeVの陽子ビームを照射した純金属のターゲット中に生成した軽核:Be-10, Al-26の生成断面積の測定を行い、これまでに報告値の無かった、7つの核データを新たに得ることが出来た。これらのデータは、核データ分野のみならず、加速器ターゲット室内の放射性エアロゾルの種類、量、粒径及びその成長速度に関する情報に、密接に関連することから、遮蔽分野及び内部被ばくの観点において、重要な知見になると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に達成できなかった以下の実験について、平成27年6-7月に行う予定である。 金属ターゲットに120 GeV の陽子が照射され生成される放射性エアロゾルの起源は、各金属ターゲットからの反跳(リコイル)成分であると考えられる。本研究課題における、「生成した放射性エアロゾルの起源及び生成・挙動機構」関してより詳細な知見を得るため、各金属ターゲットに120 GeV の陽子を照射し、リコイル成分としての放射性核種を測定することも試みる。
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Causes of Carryover |
H26年度のフェルミラボでの実験は、加速器の起動の遅れにより、延期されたため、それにかかる予定であった旅費は、H27年度の助成金として使用する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、フェルミラボでの実験を2回、国際会議での発表および情報収集を二回ずつ予定しており、それらについて当該助成金を使用する。
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