2016 Fiscal Year Research-status Report
渋滞列における発進波の数理的解明から渋滞解消の実践へ
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25790099
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
友枝 明保 武蔵野大学, 工学部, 准教授 (70551026)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 渋滞学 / 待ち行列 / 発進波 / セルオートマトン / 交通エントロピー / 分岐解析 / 追従モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き,本年度は,以下の二つのテーマについて数理研究を行った. ①発進波に関する交通流数理モデル研究: 渋滞解消の一つのキーワードは「slow-in fast-out」であり,このフレームワークを整備するためには,発進波という反応の連鎖の伝播現象が必要となる.そこで今年度は,人の発進波研究で得られていた研究成果を発展させ,車の発進波に関する数理モデル研究を行い,一つの結果として,渋滞列から抜け出す際に必要な時間が最小となる密度が存在することを発見した.つまり,渋滞列の中では,ある適切な車間距離を保つことで,渋滞を抜けるまでに必要な時間を最小化できることを数理モデルを用いて示すことに成功した.この結果は,国際シンポジウム(CANDAR'16)のセルオートマトンに関するワークショップ(AFCA'16)において査読プロセスをクリアし講演した. ②交通流数理モデルの分岐構造に関する研究: 渋滞の流れは「安定な」流れであり,渋滞を解消するためには,この安定な渋滞流を不安定化させることがポイントとなる.つまり,渋滞解消策を導出するためには,数理モデルの分岐構造を把握することが重要となる.そこで今年度は,相対速度の効果が強くなると一様流が不安定化しにくくなり,渋滞を軽減する一つの方法となりうるという昨年度の研究成果をまとめるとともに,相対速度の効果が組み込まれた他の数理モデルの分岐構造を解明した結果も加えて査読付き英文雑誌(TransportmetricaA)へと投稿し,採録が決定した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
数理モデル研究はおおむね順調に進んでいるが,研究代表者の所属機関には現在下位学年しかいないため,実験のサポートをお願いする専門知識を持った適任者がみつからず,実験実証に関して実施が遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
①「交通エントロピー」に関する数理研究について,研究成果を論文にまとめるとともに,②交通流モデルの「分岐構造」に関する数理研究を深化させていく予定である.さらに,③発進波に関する数理研究成果も揃ってきたので,実験をサポートしてくれる適任者を探し実証実験を実現する予定である.
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Causes of Carryover |
本研究課題を進める過程で発見した「分岐解析」に関する研究を深めるための数理研究を中心に進め論文化に時間を要したこと,さらに,研究代表者の所属機関には現在下位学年しかいないため,実験のサポートをお願いする専門知識を持った適任者が見つからず,実験に関する未使用額が発生し,次年度使用額が発生した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験に関する機器備品については,実験が滞りなく遂行できるように引き続き環境整備をしていく予定である.実験を補助してもらう学生については,他大学の学生も視野に入れ,対象を拡げて適任者を探す予定である.
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Research Products
(12 results)