2015 Fiscal Year Research-status Report
ラングランズ対応の枠組みをモチビックホモトピー論を用いて拡大する研究
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25800005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近藤 智 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 客員准科学研究員 (30372577)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 代数曲線のモジュライ / オペラッド構造 / モジュラーシンボル |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主にプレプリント「Modular operads of embedded curves」の修正に費やされた。このプレプリントは2014年7月にアーカイブに投稿したもので、Charles Siegel氏およびJesse Wolfson氏との共同研究である。この論文においては、曲線のその曲線の埋め込みのモジュライを、従来とは異なる形で定義を行った。ふたつの曲線の糊付けという操作はよく知られているが、それを拡張する形で、ふたつの埋め込まれた曲線の糊付けを定義した。主結果は、この糊付けの誘導する写像により、埋め込みのモジュライ空間がオペラッド構造を持つ、というものである。
このプレプリントでは、曲線の埋め込みのモジュライの定義に誤りがあり、プレプリントの形のままではうまくいかない部分が出てくることが今回わかった。そのため、その修正に時間が費やされ、従来のものとはことなる、新しいモジュライの定義を考えるに至った。これが今年度の主な研究実績となる。
一方で、ラングランズ対応に関する内容を一部含むプレプリント"The Borel-Moore homology of an arithmetic quotient of the Bruhat-Tits building of PGL of a non-archimedean local field in positive characteristic and modular symbols" (安田正大氏との共著)についての講演を二回行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ラングランズの枠組みの改変を研究のゴールとして掲げているが、それについては、当初の予定とは異なる形での結果しか得られていない。(2回の講演)
今年度は、発表してあったプレプリントに間違いが見つかったため、その修正に時間が費やされた。
しかし、曲線のモジュライの埋め込みがオペラッドをなすというプレプリントについて、講演を行うなど、他の研究者からのフィードバックを得られるように動いた。プレプリントについてのコメントが専門家からあり、それを反映させるよう、プレプリントを改良しており、これらは必要なステップであったと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今回、埋め込みのモジュライの新しい定義を得たことにより、これまでは考えられなかった具体的な問題が提示されるようになった。研究計画においてはすべてが抽象的であったが、これらの具体的な問題には、計算機などで計算が可能な問題が含まれており、このような計算を行うことが今後の方針を立てる上で役に立つのではないかと思われる。
上の曲線の埋め込みのモジュライにまつわる問題に取り組むほか、より直接に最終年度の予定にも取り組む。スタンダード予想などを仮定することで、ベイリンソン予想を導くという目標があるが、これのより簡単な場合というものが考えられることが最近わかったので、そのより簡単な問題に取り組む。これは他の整数論の研究者の協力を必要とするものになると思われる。
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Causes of Carryover |
当該年度はパソコンなど物品の購入が少なかったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ノートパソコンなど持っているもので古くなってきているものがあるため、それらを購入する予定である。また、書籍などにも使用する。
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