2014 Fiscal Year Research-status Report
アーベル多様体のモジュライ空間に入る階層構造と葉層構造の研究
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25800008
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
原下 秀士 横浜国立大学, 環境情報研究科(研究院), 准教授 (70396852)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 代数幾何学 / アーベル多様体 / モジュライ空間 / p-可除群 / Deligne-Lusztig多様体 |
Outline of Annual Research Achievements |
飽和 Newton polygons を持つ p-可除群の同種類の分類に関する美しい定理を証明できた。結果の詳細は、非常に弱い仮定の下、飽和 Newton polygons を持つ p-可除群は、幾何的ファイバーが全て極小(minimal)であるp-可除群と同種であるというものである。この結果は、本年度論文を執筆し、すでに投稿を行った。本研究テーマは主偏極アーベル多様体のモジュライ空間に入る葉層の境界の決定であるが、上記定理は、偏極が無い変種に対する飽和 Newton polygons を持つ場合の葉層の境界の決定に関し、重要な役割を果たすと期待している。ある意味特殊な場合であるが、最も典型的な場合であり、適切な問題設定だと考えている。偏極付きの場合と偏極無しの場合は共に興味深い研究対象であり、本研究課題については偏極無しの場合の方がやや易しい問題と考えているため、先ず偏極無しの場合に取り掛かっている。近いうちに偏極無しかつ飽和 Newton polygons を持つ場合の葉層の境界の決定に決着がつけれられるのではないかと考えている。 関連研究として、BT_1 の新しい分類法についても結果を得ていたが、今年度ある種の一般化も得ることができたので、現在論文の構成について検討している。また、代数群の有限環値点として得られる有限群の表現論も引き続き取り組み、ある場合の結果の論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
飽和 Newton polygons を持つ p-可除群の同種類の分類に関する美しい定理を証明できた。これは葉層の境界の決定という本研究テーマの達成の最初のステップとなると期待している。その他、関連研究にも進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には、多くのアイデアを試し、地道に計算を積み重ね、課題を解決したり、面白い現象をみつけたりするより他ない。国内外の研究者との意見交換は、新しいアイデアを得るもっともよい方法だと思っている。特に、主偏極アーベル多様体のモジュライ空間に入る葉層構造の研究については、研究当初から共同研究しているFrans Oort教授と連絡を取り合い、研究を進めて行きたい。
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Causes of Carryover |
適切な研究費の使用の結果、2045円の残額が生じた。少額であるため、次年度以降の使用が適切と考えた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
書籍購入等適切に使用する。
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