2013 Fiscal Year Research-status Report
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25800011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
野崎 寛 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (80632778)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | s-距離集合 / integral point set / 隣接行列 / グラフ / 埋め込み |
Research Abstract |
単独で執筆した「Lower bounds for the minimum diameter of integral point sets」が専門誌The Australasian Journal of Combinatoricsに掲載された。ユークリッド空間上の有限集合がintegral point setと呼ばれるのは,異なる二点間のユークリッド距離が全て整数であるときである。Integral point setには,次元と有限集合のサイズを固定したときに,最大距離を最小化したいという問題意識がある。この論文では,その最大距離の既存の下界を一般に改善することに成功した。ここでの証明の方針は,集合の隣接関係から得られる行列の固有値を解析することであった。 本研究課題における重要課題として,s種類の隣接関係を持つグラフ構造の,s-距離集合(異なる2点間のユークリッド距離がs種類であるユークリッド空間上の有限集合)としての,ユークリッド空間への埋め込み理論を構築することが挙げられる。そこでは,隣接関係を表わす行列たちの固有空間の解析が重要である。上の論文ではサイズの大きいs-距離集合に対して,その隣接行列が,ある特別な重複度の大きい整数固有値を持つことが示されており,それが大きなブレイクスルーとなっていた。この固有値の議論から,一般のグラフ構造の,s-距離集合としての埋め込み理論が発展することが十分期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
s個の関係を持つグラフのs-距離集合としての埋め込み理論に必要であると思われる,隣接関係を表わす行列が,ある特別な固有値を大きな重複度と共に持つことを示すことが出来た。この結果を応用して,特に大きなs-距離集合を持つグラフに限れば,グラフの埋め込み理論を構築できる可能性がある。最近の成果で,有向グラフの複素球面上への3-code(互いに異なる2点間の複素内積が3種類)としての埋め込み理論が,次元に対して大きな元の個数を持つ3-codeのときのみ完成している。この理論を応用して,s個の関係を持つグラフの大きなs-距離集合としての埋め込み理論が進展する可能性がある。それは,本研究課題における最も重要な研究課題のひとつであった。
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Strategy for Future Research Activity |
コンピュータなどを用いて,サイズの小さいs個の関係を持つグラフが,どの様な次元の空間に埋め込むことが出来るか沢山の具体例について計算をする。その計算結果を観察することから予想をたて,グラフのs-距離集合としての埋め込み理論の構築を試みる。理論が完成すれば,それを用いて小さな次元と距離の個数sに対して最大s-距離集合の決定を試みる。 最近の成果で,グラフの固有値の情報から線形計画法を用いて,グラフの頂点数の上界を与えることが出来た。これを用いて,知られている特に内周の大きいグラフに関して,固有値の言葉を用いた特徴づけを行う。 それぞれ,代数的組合せ論において重要な離散構造における研究課題であり,本研究課題への応用が期待される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度に購入予定であった書籍を,次年度に延期したため。 当該年度に購入を延期した書籍を購入し,次年度分として請求した助成金は当初の計画通り,PC関連の物品,書籍購入,国内,海外旅費として使用する。
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Research Products
(10 results)