2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25800017
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大川 新之介 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (60646909)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 導来圏(ヨーロッパ) / 非可換代数幾何学(ヨーロッパ) / ブラウアー対(ヨーロッパ・北米・オーストラリア) |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はドイツのマックスプランク数学研究所に1年を通して滞在し、研究を行った。以下の1の結果についてはIMRNから電子的に出版済み、2、3はarXivに発表済みである。 1.同滞在研究員の上原北斗氏(首都大学東京)と共に次数2のHirzebruch曲面F2上の例外対象の分類について研究を行った。Del Pezzo曲面の場合と比べて飛躍的に難しくなるのであるが、部分的な結果として、例外層の構造を決定することができた。 2.同滞在研究員の佐野太郎氏(京都大学)と共に安定点つき曲線のmoduli stackの非可換変形について研究を行った。これらは可換な変形を持たないが非可換変形についてはどうか、という質問を同研究所のYuri Manin氏から受けたことが研究の動機であった。結果として、少なくとも種数が0の場合については、点の数が5の場合を除いて非可換変形の非存在が証明できた。高種数の場合にもstack上で非自明なcohomologyの消滅が証明できたが、高種数ではmoduliがschemeでないため、それだけでは非可換変形の非存在を結論するには不十分である。 3.植田一石氏(大阪大学)、Tarig Abdelgadir氏(ICTP)と行ってきた非可換射影平面のmoduli空間に関する研究に一応の目処がついた。 4.以下の共同研究については、近いうちにarXivに発表ができると思われる。i)非可換3次曲面のモジュライ空間 ii)非可換射影平面のモジュライ空間の構成のcanonicity 5. 以下についてはまだ継続して共同研究が必要である。 iii) 非可換Hirzebruch曲面のモジュライ空間 iv) Brauer pairのMMP(これは今年度より共同研究を開始した。中心上有限な非可換代数多様体のMMPに関する研究である。既存のMMPの結果を適用できる面白い対象である。)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は上記1,3の研究について一応の目処をつけることができたので、順調であると考えている。非可換射影曲面のモジュライに関するプロジェクトはまだ幾つか残っているが、このテーマ全体に対する理解がこの1年で進んだと感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記i) ii)については一先ず完成形が見えてきているので、着々と進めていきたい。 iii)については、Van den Berghによる非可換射影直線束の理論を理解することが1つの鍵であると考えている。iv)についてはまだ始まったばかりであるが、次回のmeetingも予定されており、引き続き取り組んでいきたい。
非可換射影平面と非可換2次曲面のモジュライの構成にあらわれる不変式論は他にも様々な文脈であらわれるのであるが、それらの文脈との関係性は依然として不明である(ただの偶然かもしれないが)。また、非可換代数幾何学と一般化された複素構造の理論との関係も興味深いが、明らかではない。これらについても考察していきたい。
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Causes of Carryover |
マックスプランク研究所からの出張旅費の一部を同研究所から負担してもらったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
旅費として用いる予定である。
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Research Products
(5 results)