2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25800020
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
大関 一秀 山口大学, 理工学研究科, 講師 (70445849)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 可換環論 / ヒルベルト函数 / 巴系イデアル / d-列 |
Research Abstract |
可換なNoether局所環内の巴系イデアルには,それを含む局所環の構造の主要な部分がかなり含まれていると考えられている。従って,巴系イデアルのヒルベルト函数の挙動を解析することで,局所環の構造の分類が期待できる。本研究の目的は,ヒルベルト函数解析を手法に与えられた局所環に含まれる巴系イデアルの構造を解析しながら,局所環の可換環論を展開するものである。 平成25年度は,主に,『巴系イデアルのヒルベルト函数による非Cohen-Macaulay環解析』に取り組んだ。特に,巴系イデアルの第1オイラー標数とヒルベルト函数の挙動との関係解明について,明治大学の後藤氏との共同研究として取り組み,成果を挙げた。その中で,加群のホモロジカル次数の理論を用いて第1オイラー標数を制御することにより,巴系イデアルの構造および,そのヒルベルト函数の挙動を特徴付けることが可能となった。 得られた成果については,12月に開催された第35回可換環論シンポジウム(RIMS)や,3月に開催された日本数学会年会(学習院大学),さらに12月にハノイ(ベトナム)で開催された国際会議Commutative Algebra and its interaction to Algebraic Geometry and Combinatoricsにて成果発表を行った。 また,研究代表者は,5月末から約2週間,ジェノバ大学(イタリア)に滞在し,M. E. Rossi教授との情報交換を行った。これは本研究課題を遂行する上で軸となる研究活動である。その中で,研究代表者はRossi氏とイデアルの断面種数とヒルベルト函数との相互関係についての議論を行ったが,その議論を基に新たな研究課題も芽生えつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「9.研究実績の概要」で述べた通り,平成25年度には,巴系イデアルの第1オイラー標数とヒルベルト函数の挙動の関係について一定の研究成果を与えることができた。これは本研究の目標の一つである,巴系イデアルのヒルベルト函数による非Cohen-Macaulay環解析を一歩前進させるものである。その中で,加群のホモロジカル次数の理論を積極的に活用したことは,今後のヒルベルト函数の挙動研究の範囲を大きく広げるものであると考えられる。一方で,巴系イデアルの断面種数とヒルベルト函数の挙動との関係についての新たな課題が見つかり,これは26年度の課題として残されている。 以上の通り,本研究は,当初の計画に対して一定の成果を残す一方で,計画時にはなかった新たな研究課題も見つかるなど,現時点においておおむね順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題申請時の研究計画の通り,平成26年度は,『正規化されたヒルベルト函数の挙動解析』に主に取り組む。ここでは,局所環の正則性・Gorenstein性と正規化された第1ヒルベルト係数との関係解明を目標に,一般の解析的不分岐な局所環上での正規化されたヒルベルト函数の挙動解析を行う。加えて,25年度に実施した『巴系イデアルのヒルベルト函数による非Cohen-Macaulay環解析』についても継続する。特に,前年度からの課題として残されている巴系イデアルの断面種数とヒルベルト函数の挙動との相互関係についての理論構築に早急に着手する。これらの課題が,予定通りに進まない場合は,一般のm-準素イデアルのヒルベルト函数による随伴次数環およびRees代数の構造の分類を目標に,本研究の予備課題である『Sally加群論からのヒルベルト函数解析』に取り組む。 25年度にM. E. Rossi教授(ジェノバ大学・イタリア)との研究議論を行ったが,本年度も引き続き同氏との研究議論および情報交換を継続していく。得られた研究成果については『日本数学会』,『可換環論シンポジウム』,『環論及び表現論シンポジウム』,『可換環論セミナー』,『代数学若手研究会』といった,国内で開催される学会,シンポジウム,若手研究会にて成果発表を行っていく。年度末には,一連の研究成果と内容を総括し,学術論文として発表予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Ulrich ideals and modules2014
Author(s)
Shiro Goto, Kazuho Ozeki, Ryo Takahashi, Kei-Ichi Watanabe, Ken-Ichi Yoshida
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Journal Title
Mathematical Proceedings of the Cambridge Philosophical Society
Volume: 156
Pages: 137-166
DOI
Peer Reviewed
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