2013 Fiscal Year Research-status Report
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25800021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
水野 義紀 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (30546388)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | モジュラー形式 / L関数 / 特殊値 / ディリクレ級数 / フーリエ係数 |
Research Abstract |
ランキン・セルバーグ畳み込みの特殊値の研究を行った。素数導手をもつ指標による捻り2次対称L関数の正則核関数が、報告者のこれまでの成果により明示的に得られていた。本年度は、素数導手の指標による捻りを平方因子を含まない奇数導手をもつ指標による捻りへと一般化し、捻り2次対称L関数の正則核関数の公式を導いた。自明指標を扱ったザギエ・水本の公式、ルジャンドル指標を扱ったストップルの公式の一般化になっている。これらの利点は、導手が大きくなるにつれて考察すべき空間が複雑になるという困難が避けられる点にある。初等的な計算は増えてしまうのであるが、計算可能であるところに注目すべき点がある。素数導手の場合について、上越教育大学での研究集会「Workshop on Modular forms and Jacobi forms」、第2回京都保型形式研究集会、第8回福岡数論研究集会において、それぞれ口頭発表を行った。また、第8回福岡数論研究集会報告集の原稿を作成した。加えて、自明指標の場合を埼玉大学における集中講義で取り上げ、報告者のアプローチをフーリエ展開および解析的正当化に力を入れて解説した。以上の他に、フーリエ係数がヘッケ評価を満たす2次ジーゲル・モジュラー形式は自動的にカスプ形式になる、というカスプ形式特徴付けの研究論文"On characterization of Siegel cusp forms of degree 2 by the Hecke bound"の改訂作業を行った。これは雑誌Mathematikaに受理され、掲載が決まった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
捻りに用いる指標の導手に関する一般化が達成できた。また、理論的・定性的な結論に留まらず、L関数の特殊値がいくつか正確に求まり、実際の計算に有用であることが確認できている。報告者のアプローチについて、対象を広げられる可能性が分かりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
予定していたとおり、二元二次形式の類数を係数にもつディリクレ級数を考察する。ウィッタッカー関数の積分変換といった技術的な事柄について、これまでの成果をふまえて調べていく。また、他の研究・異なる文脈に由来する対象との接点を検討する。加えて、本年度得られた結果の論文作成および計算機の知見を高めることを行い、L関数の特殊値の計算を引き続き行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
概ね使用済みである。3月に納品となり支払いが完了していないため生じたものである。 上述分は4月に支払いが完了する予定である。次年度分として請求した助成金は、主に研究発表・情報収集に必要な研究集会参加旅費と、情報収集に必要な図書に使用する。論文作成に必要となる印刷機器の整備にも使用する予定である。
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