2014 Fiscal Year Research-status Report
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25800022
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中岡 宏行 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (90568677)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | biset functor / Mackey functor / 2-category / triangulated category / torsion pair |
Outline of Annual Research Achievements |
Biset関手論において「Biset丹原関手」の定義を目標とする研究は、2014年7月に修正版を投稿したプレプリント[1. A Mackey-functor theoretic interpretation of biset functors]により定義の土台となる2-圏の導入と、2-圏上のMackey関手の圏とbiset関手の圏との同値性の証明を行い、続くプレプリント[2. Several adjoint constructions for biset functors via Mackey-functorial interpretation]において、この同値を利用したBoltje・Jacobsonの随伴関手の類似物の構成を述べた。プレプリント[3. Partial Tambara structure on the Burnside biset functor, induced from a derivator-like system of adjoint triplets]ではderivatorの類似を追うことによるBurnside biset関手の「部分丹原性」の記述を行った。 また、三角圏上のねじれ対の研究において、プレプリント[4. Equivalence of hearts of twin cotorsin pairs on triangulated categories]ではねじれ対のハートに圏同値が誘導されるための条件を調べた。 以上の結果はそれぞれ専門の論文誌に投稿した。現在審査待ちである。 また、モノイダル構造を用いたGreen biset関手との対応付けについても論文を作成し、論文誌に投稿した。
上記の結果について、2014年度は9件の口頭発表と1件のポスター発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有限群に付随する代数系の、制限・推移・共役に関する振る舞いを記述するものはMackey関手であるが、より構造を持つものとして、Serge Bouc教授によりbiset関手の概念が定義された。プレプリント1では、有限集合と有限群の作用の組を対象とする2-圏を考えることで、2-圏上のMackey関手によるbiset関手の解釈を与えた。Biset関手のなす圏はこのMackey関手のなす圏に忠実充満に埋め込まれる。 プレプリント2では、JacobsonのF-Burnside構成、Boltjeのプラス構成などが実際に一般化できることを示し、いくつかのbiset関手の構成法を与えた。 プレプリント4に先行する自身の論文では、t-構造のハートと、クラスター傾部分圏による剰余を同時に一般化する圏として、ねじれ対のハートを定義していた。BuanとMarshにより得られたリジッド部分圏による剰余も、ねじれ対のペア(双ねじれ対)により一般化される。プレプリント4では、MarshとPaluにより得られたリジッド剰余の擬-森田同値を、双ねじれ対のハートの間の圏同値として実現し、圏同値のための一般的判定条件を与えた。 プレプリント3ではbiset丹原関手の定義を念頭に置き、Burnside biset関手の持つ「丹原性」を調べた。プレプリント1で得られた2-圏上に、有限群上の有限集合のなす圏を対応させるbifunctorを与えた。このbifunctorから得られる制限・推移・乗法的推移のなす随伴三対がderivatorと類似する性質を持つことを示し、Burnside biset関手の丹原性を調べた。 また、投稿中の‘Biset functors as module Mackey functors’では、通常のMackey関手に対して知られているテンソル積を2-圏上でも考え、Mackey関手のなす圏が対称モノイダル圏となることを示した。モノイド対象としてGreen関手が定義され、Green biset関手はdeflativeなGreen関手に対応する。biset関手の圏が、Burnside関手上の加群のなす圏に圏同値になることも示した。
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Strategy for Future Research Activity |
Biset関手論におけるこれまでの研究で、「biset丹原関手」の定義に必要な結果が得られた。実際、プレプリントで定義した『有限集合と有限群の作用の組を対象とする2-圏』を用いて、丹原biset関手の定義が可能となると期待される。さらに、この2-圏を圏のなす2-圏に埋め込むことで、derivatorとの関連性を調べることもできる。今後は、1.この埋め込みの満たす性質、2.丹原性を導出するために必要なderivatorの性質、3.Burnside関手のderivatorによる解釈、について考察することで丹原biset関手の研究を進める。 DerivatorはGrothendieckによる未完の研究であるが、これは2-圏上の随伴三対の持つ性質を記述する体系であり、近年MaltsionitisやGrothらによって整備され、Stovicekなどにより環の表現論に用いられ始めた。これまでの自身の研究から、Mackey関手(biset関手)・丹原関手との関連性が伺えるため、今後の研究では関係をより明確に記述し、丹原biset関手の定義に活用したい。 同様に関手の随伴三対構造を扱う概念として、三角圏上のrecollementが挙げられる。これは三角圏上のホモロジカルな概念として、ねじれ対とも関係を持つ。実際、recollementはt-構造と同様、Beilinson-Bernstein-Deligneにより偏屈層の研究において導入された概念であり、t-構造との関係の一般化をねじれ対に対し実現できる可能性がある。今後の研究で、ねじれ対がrecollementに対して満たす性質、またハートの構造との関係を調べ、三角圏上のホモロジカルな構造のもつ性質についての研究も進めていきたい。
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Research Products
(11 results)