2014 Fiscal Year Research-status Report
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25800031
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
見正 秀彦 東京電機大学, 情報環境学部, 准教授 (10435456)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 数論的ゼータ関数 / 普遍性 / 値分布 / 零点分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度前半は研究実施計画に掲げた5つの目標のうち,目標③「Steuding予想の算術化」に関する名越弘文氏(群馬大学)との共同研究が進んだ.申請者が確立した同時普遍性の証明法(定符号正密度法)を利用することで,(i)2つの指標付保型L関数L(s,f_1,χ_d),L(s,f_2,χ_d) の実指標χ_d の変動に伴う同時普遍性 (ii) 2つのRankin-Selberg L関数 L(s,f_1*g), L(s,f_2*g)$の保型形式gの変動に伴う同時普遍性 を証明することに成功した.年度後半はこれらの結果と昨年度得た結果に関する論文執筆に主に取り組んだ. 一方,昨年度から継続して取り組んでいた目標④「Steuding予想の多重化」については,今年度末,L.Pankowski氏(Adam Mickiewicz University ), Y. Lee 氏(Incheon National University) らにより定符号正密度法と全く異なる手法を用いてほぼ完全な形で証明された.そのため,残念ながら目標④に関する研究は断念せざるを得ない状況となった.代わりの目標として多重佐藤-Tate予想の簡略化ともいえる「保型形式の係数符号の独立性」に取り組み始めたところである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は目標①「Steuding予想の解決」をほぼ達成し,今年度は目標③「Steuding予想の算術化」に関する研究がかなり進んだ.その一方で目標④「Steuding予想の多重化」が第3者により達成されてしまった.目標②,⑤についてはまだ手付かずである. 全体としてみると,研究計画の遂行はやや遅れていると言わざるを得ない状況である.
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Strategy for Future Research Activity |
目標②「Euler-Zagier和の値分布」,⑤「値分布,零点分布の独立性と係数の直行性の関連」に関する研究は進める一方で,目標④に代る新たな目標として「保型形式のフーリエ係数の符号分布の独立性」に取り組む予定である。保型形式のフーリエ係数の符号と実Dirichlet指標との類似点,相違点がE.Kowalski, K. Soundarajanら多くの数学者により研究されている.特に弱多重佐藤-Tate予想とも言える「異なる保型形式の係数符号の独立性」を確立することができれば,定符号正密度法を用いた多重Steuding予想の解決が可能となるだろう.
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Causes of Carryover |
2,3月に開催予定のセミナーに参加するため,交通費を多めに見積もっていたのですが, 予定が合わないため,いくつかのセミナーへの参加を見送りました.そのため,未使用額として9,571円が残りました.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品の購入に当てたいと思います.
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Research Products
(2 results)