2013 Fiscal Year Research-status Report
幾何学的・代数的トポロジーの手法による埋め込みの空間の研究
Project/Area Number |
25800038
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
境 圭一 信州大学, 理学部, 助教 (20466824)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | トポロジー / 埋め込みのなす空間 / Haefliger不変量 / グラフ / 配置空間 / ジェネリックはめ込み |
Research Abstract |
平成25年度の主な成果として、(4k-1)次元球面の6k次元Euclid空間への埋め込みを分類するHaefliger不変量の幾何学的な公式を与えた。 研究代表者は過去に、Haefliger不変量をグラフに付随する配置空間上の積分で表す公式を得ていた。この公式が古典的結び目に対するCasson不変量の積分表示(R.Bott-C.Taubes, 河野俊丈らによる)に類似していることに注目し、Haefliger不変量とCasson不変量の性質の類似性に着目して研究を行った。その結果、(4k-1)次元球面の埋め込みを(6k-1)次元に射影したときに現れる自己交叉の絡み数を使って、その自己交叉における「交叉交換」でのHaefliger不変量の変化を記述することができた。これはCasson不変量に対するX.-S.LinとZ.Wangの公式の高次元化である。また、この公式を使って、Haefliger不変量が結び目不変量における「有限型次数」の不変量と似た振る舞いをすることを証明できた。このことにより、幾何学的特徴づけが待たれる有限型不変量の研究に新たな視点を提供したと言える。 さらに、Lin-Wangの研究と類似した方法で、(4k-1)次元の(6k-1)次元Euclid空間へのジェネリックはめ込みで、6k次元への埋め込みに持ち上げ可能なものに対する不変量を定義した。Lin-Wangの研究では次数1の不変量が現れたのと対照的に、高次元では次数1ではない不変量が得られることもわかった。はめ込みに対する新たな不変量がHaefliger不変量と関連する形で得られたことは当初想定していなかったことで、その特徴づけなど、今後考えるべき新たな問題を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者の過去の研究に基づいてHaefliger不変量の幾何学的公式を与えることは、本研究の目標の一つであるVassiliev不変量の幾何学的意味づけにおいて、重要なステップであった。一つの区切りとなる成果を得たことは、本研究における意義は非常に大きい。副産物として、想定になかったはめ込み不変量を得られたことも意味のあることだった。次の目標である、埋め込みの空間のホモトピー論的な立場からの研究においても、今年度に得た成果は重要な基礎づけを与える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に得た成果は、グラフに付随した配置空間上の積分により、高次元埋め込みにおけるVassiliev不変量を定式化できること、その幾何学的意味を調べることも可能であることを示している。Vassiliev不変量の幾何学的意味をさらに深く調べるため、関手の微積分を利用する方法による研究も進めたい。平成25年度に得た成果を注視すると、関手の微積分において得られる埋め込みの空間の近似列が、Vassiliev不変量と非常に相性の良いものであることが予想される。関手の微積分の言葉で、Vassiliev不変量を特徴づけることが一つの目標となる。また、関手の微積分は埋め込みの空間自体のホモトピー型を調べる際にも有効である。Vassiliev不変量の持つ性質は埋め込みの空間の何を取り出したものなのか、という視点で、operadなども駆使したホモトピー論的立場からの研究を進めたい。
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Research Products
(1 results)