2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25800041
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
入江 慶 京都大学, 数理解析研究所, 助教 (90645467)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ハミルトン力学系 / 周期軌道 / フレアホモロジー / ストリングトポロジー |
Research Abstract |
1.周期ビリヤード軌道の研究:リーマン多様体の閉測地線を研究する最も基本的な手法は、ループ空間上の長さ汎関数に対してモース理論を使うことである。同様の手法をビリヤード周期軌道に適用する研究はBenci-Giannoniにより行われていた。私はこの研究を精密化(定量化)し、ビリヤード台の容量という概念を導入して、周期ビリヤード軌道の長さを捉えられることを示した。応用として、周期ビリヤード軌道の長さに関して以前得られていた私自身の結果の精密化・一般化を与え、同時に他の研究者により得られていた関連する結果にもこの方法による別証明を与えた。以上について論文"Periodic billiard trajectories and Morse theory on loop spaces"をまとめた(投稿中)。 2.ストリングトポロジーの研究:Chas-Sullivanは、99年の論文で多様体のループ空間のホモロジー群の上に一種の交叉積を定義し、さらにそれがBatalin-Vilkovisky代数という構造にのびることを示した。これは余接バンドル上のフレア理論とも深い関係がある。この結果を精密化して、鎖レベルの構造を定義することは重要な課題であるが、まだ決定版の解答はないと思われる。一つの困難は、鎖レベルで交叉積を定義する際に不可避な横断正則性の問題である。これについて、de Rham理論に基づく新しいアプローチにより一定の成果を得たので、論文"Transversality problems in string topology and de Rham chains"にまとめてプレプリントとして公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
懸案であった、ストリングトポロジーの横断正則性の問題について一定の結果が得られた。この結果は、今後の研究の土台になることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度のストリングトポロジーの研究では、de Rham理論に基づいてループ空間の鎖複体を定義し、その上にループ積などの演算が自然に定義できることを示した。今後はこの鎖複体の代数的な構造を詳しく調べる。一つの目標は、この鎖複体にある(適切な)オペラッド上の代数の構造を定義することである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定より出張(とくに海外)が少なかったため。 主に旅費と書籍購入費にあてる予定である(目安としては、出張費80万、書籍購入費40万)。次年度は、本年度より出張の機会が多くなると予想している。また、今年度購入を検討していたが、まだ購入していない書籍がかなりあるので、それらも積極的に購入していく予定。
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