2014 Fiscal Year Research-status Report
測度の集中現象のLaplacianの解析学と幾何学への応用
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25800042
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
船野 敬 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40614144)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ラプラシアン / 測度集中 / 最適輸送 / 曲率次元条件 |
Outline of Annual Research Achievements |
曲率0以上のコンパクトアレキサンドロフ空間上のラプラシアンの固有値の分布の研究を行った。ラプラシアンの固有値の情報は多様体の閉測地線の分布、体積、曲率、直径といった幾何学的量と密接に関係していて幾何学的にも解析学的にも重要である。非負リッチ曲率を持つ閉リーマン多様体の場合は私によって前年度同様の結果が得られていたが、そのときは等周問題の最適集合の正則性に基づく議論を行っており、アレキサンドロフ空間のような一般の距離空間にこのままの議論では拡張できなかった。今回は最適輸送理論と測度集中の理論の二つだけを用いて前回と同様にラプラシアンの第k固有値を第1固有値で上から定数倍を除いて抑えることができた、さらに具体的に定数の評価も行った。論文を作成し投稿しようと思った矢先に他の数学者によりより良い評価の論文がだされてしまった。しかし、私の方法ではラプラシアンの固有値の上からの評価に対するある非自明な上からの評価が与えられているので、現在は論文を修正作成中である。結果は非負曲率コンパクトアレキサンドロフ空間に任意個の部分集合が与えられたとき、その個数と測度, その部分集合の間の距離の情報のみから第k固有値が上からの評価を持つといったものである。この結果を用いることによる非負曲率を持った空間のラプラシアンの第k固有値と第k+1固有値の比が次元に寄らない定数で上から押さえることができるといった予想のアプローチが期待され、その意味でもこの結果は重要であると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は無事に目標のひとつであった非負曲率を持ったコンパクトアレキサンドルフ空間のラプラシアンの固有値の分布についての結果を得ることができたが、それよりも良い結果を他の数学者に先に出されてしまい結果を書き換えて論文を投稿する必要がでたのでおおむね順調に進展しているとしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
非負曲率を持つ空間のラプラシアンの第k固有値とk+1固有値の比が上から普遍定数で押さえれるかという予想について、私が今年度得た結果とE. Milmanの結果「測度の集中不等式から第1固有値の下からの評価が得られる」の第k固有値への一般化を用いることによりアプローチ可能と思われるので取り組んでいきたい。
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Causes of Carryover |
当該年度は書籍などの参考書籍が当初予定していたよりも必要でないとわかり、使わなかった分次年度使用額が生じてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
出張の際の旅費として用いるかまたは研究に必要となる書籍購入に用いたい。
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Research Products
(3 results)