2014 Fiscal Year Research-status Report
ケーラー・アインシュタイン計量の双有理幾何学的研究
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25800050
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
佐野 友二 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (00399792)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ケーラーアインシュタイン計量 / 端的ケーラー計量 / バランスド計量 / トーリックファノ多様体 / 二木不変量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は反標準束で偏極されたファノ多様体上のケーラーアインシュタイン計量の存在問題について,微分幾何・代数幾何の視点から取り組むことにある.今年度は,上記の目的に従って以下のような課題に取り組んだ. (1)球面上の錐特異点を持った勾配縮小リッチソリトンの研究(共同研究):定曲率計量の拡張の1つにリッチ流の自己相似解であるリッチソリトンが知られている.滑らかな場合には球面上の勾配縮小リッチソリトンは定曲率計量のみであることが Hamilton により示されていた.この結果は Kazdan-Warner の等式から直ちに従う.この事実を錐特異点を許した場合に拡張した.特に,リッチソリトンのベクトル場が錐特異点の頂角によって一意的に決まることを示した. (2)トーリックファノ多様体の Delzant 多面体の重心の研究:昨年度に引き続き,トーリックファノ多様体の Delzant 多面体の重心を,その極双対であるファノ多面体の情報を用いて記述することを試みた.トーリックファノ多様体の Delzant 多面体の重心は二木不変量と同等であり,それが原点にあるときはトーリックファノ多様体上にケーラーアインシュタイン計量が存在することと同値であることが知られている(Wang-Zhu).昨年度考えていた方針で修正すべき点を発見し,より有効であると思われるアプローチを得た.今年度は進捗状況を発表する機会を得たが,論文の形で発表するには至らなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
各問題において,部分的な進展はあるものの,最終結果(論文発表)を達した課題が少ないという点において本研究全体の達成度は遅れていると判断する.その理由の1つは,課題の中心となる問題の解決に時間がかかっているためである.
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Strategy for Future Research Activity |
達成度は遅れているが,課題に対するアプローチに問題はないと考えている.引き続き,現在の研究推進方策を維持する予定である.特に,トーリックファノ多様体の重心の問題はこの研究課題の中心的な位置にあり,この解決は課題の達成には不可欠である.よって,この問題へのエフォートを大きくし,必要な場合には共同研究者を探す予定である.
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