2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25800055
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
細川 卓也 茨城大学, 工学部, 准教授 (90553579)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 合成作用素 / 荷重合成作用素 / 解析関数空間 / 関数解析学 / 複素解析学 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでは作用素の成す集合の持つ環や加群としての構造の中で、合成作用素の和や定数倍の関数解析的な性質を、それらのシンボル関数の函数論的な性質で表現することを目的に研究してきた。一転、視点を切り替えて、合成作用素のシンボル関数が含まれる有界正則関数空間の環構造の、特に積についての性質が、作用素の関数解析的な性質にどの様に反映されるかというテーマが、日本工業大学の大野修一准教授との共同研究の中で始まった。具体的には、シンボルが2つの正則自己写像の積で表されるような合成作用素のコンパクト性についての研究を進めている。以下に、得られた結果を述べる。 (1)Bergman空間上の場合には、合成作用素のコンパクト性はシンボル関数の単位円周上の角微分が有界ではないという条件によって特徴付けられている。単位円板内部で成立する一般の積の微分公式は、角微分が存在する場合には境界まで拡張できる。これにより、シンボル関数が2つの関数の積φ・ψで表されるの場合の合成作用素のコンパクト性は、φとψが同時に有界な角微分を持つことがない、という条件によって特徴付けられることが分かった。この結果から得られる系として、シンボルがφのn乗である合成作用素のコンパクト性と、φの場合のコンパクト性は同値である、ということが分かった。 (2)Hardy空間やBloch空間の場合については、合成作用素のコンパクト性はNevanlinnaの個数関数や双曲微分によって特徴づけられるのだが、角微分に比べると扱いが難しい。そこで、一般の積φ・ψの場合ではなく、シンボルがφのn乗の場合を調べたところ、Bergman空間の場合と同様に、φのn乗の場合のコンパクト性と、φの場合のコンパクト性は同値である、ということを示すことができた。Hardy空間とBloch空間の上の、一般の積φ・ψの場合については継続して研究していきたい。
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Research Products
(3 results)