2015 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of macroscopic observables in asymptotically abelian systems
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25800057
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
緒方 芳子 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 准教授 (80507955)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 量子スピン系 / 基底状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
量子力学において時間発展を与える演算子はハミルトニアンと呼ばれるが,量子スピン系においては,これは自己共役な行列の列により表される.この行列の最低固有値と,のこりのスペクトルの間に(系のサイズについて)一様なギャップが開いているか否かは基底状態の性質をきめる重要な問題である.近年このギャップをもった系の分類が注目をあつめている.分類を行うためにはスペクトルギャップの存在を示す技術が必要である. しかし,一般にスペクトルギャップの存在を示すのは非常に難しい問題であり,完全に一般な量子スピン系についてこの問題を考えることは現在の技術では不可能である.しかし一次元系についてはギャップのあるハミルトニアンの,ある作り方(MPSによる構成法)が知られている.MPSによる構成法ではn個の行列の組からハミルトニアンを得る. スペクトルギャップを保証する為に,この行列の組は,ある種の条件をみたすことが必要である.今年度はこの条件をゆるめることを行った.さらに,この, ゆるめた条件のもとで得られるハミルトニアンの性質の解析を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
量子スピン系の巨視的物理量であるハミルトニアンのスペクトルについて研究を行った。特に、その最低固有値に対応する固有状態は基底状態と呼ばれ重要な対象である。この最低固有値と次に小さな固有値との間にギャップがあるような系について知見を深めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに解析できている系が、一次元系に限られている。スペクトルギャップを持つハミルトニアンの解析を二次元まで拡張したい。そのために、まず、ハミルトニアンを考えるのではなく、指数関数的減衰を示す状態の解析を行う。
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Causes of Carryover |
研究代表者の教育業務及び年度前半の体調不良のため、共同研究者との研究打ち合わせにドイツに行くことができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年9月にドイツにて開かれる合宿型の研究集会において、共同研究者と研究打ち合わせを行う。
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