2014 Fiscal Year Research-status Report
分数冪ラプラシアンを持つ確率Burgers方程式の確率解析
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25800060
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
謝 賓 信州大学, 学術研究院理学系, 准教授 (50510038)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 確率熱方程式 / 分数階ラプラス作用素 |
Outline of Annual Research Achievements |
対称な安定過程に関わるマルコフ半群の無限小生成作用素を持つ確率バーガー型方程式の解の一意性と存在を中心として調べた.なお,ガウスノイズを持つ確率拡散方程式の比較定理および確率熱拡散方程式の長時間振る舞いの研究を行った. 1.確率エントロピー解の一意性と存在を研究した.分数冪ラプラシアンの指標が二分の三以下の場合に着目し,確率バーガー型方程式に関する解の基本問題を調べた.分数冪ラプラシアンの指標が大きくなると,古典的確率バーガー型方程式と同じように軟解を導入すればよいが,二分の三以下になると,軟解が適用できないことが分かった.このような困難を克服するため,確率エントロピー解というものを導入した.ガウス型のノイズの場合,確率エントロピー解が適当な関数空間において,一意性が成り立つことを証明した.確率エントロピー解を構成するため,Splitting Methodという方法を用いて,解を構成してみたが,成功できなかった. 2.分数冪ラプラシアンとガウスノイズを持つ確率拡散方程式の比較定理を考察した.ラプラシアンを持つ確率偏微分方程式における比較定理が決定論的方程式と同じに,幅広く応用されている.しかし,分数冪ラプラシアンに関する比較定理に関する研究論文が掲載されていないので,この問題を調べてみた.期待結果が未だ証明できないが,一部の結果を示した. 3.確率熱方程式に関する長時間の振る舞いを考察した.このよう問題に対し,ノイズが有限次元ならば,詳しく研究されたが,無限次元になると,大変難しくなる.このような方程式には放物型のAndersonモデルが含まれるので,最近注目を集めた.今年度はノイズの強さが長時間の振る舞いへの影響を考察した.このような問題は解の安定性や爆発問題と深く繋がっているので,今後も,研究課題として引き続き考えたいと思う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分数冪ラプラシアンを持つ確率バーガー型方程式の確率エントロピー解の構成を研究するため,Splitting 方法などのいつくかの構成法を試してみた.しかし,解を構成するため,導入した近似確率過程の緊密性の証明が成功できなかったので,研究が遅れたと思う.一方,分数冪ラプラシアンとガウスノイズを持つ確率拡散方程式の比較定理と確率熱方程式に関する長時間の振る舞いについての研究が進んた.
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Strategy for Future Research Activity |
1.分数冪ラプラシアンの確率バーガー型方程式に関する確率エントロピー解の構成を引き続き研究する.そのため,確率過程の緊密性の適宜な証明方法を調べる. 2.反射壁を持つ分数冪確率偏微分方程式に解を導入し,その解の一意性と存在を考察する.この問題を考えるため,まず分数冪確率偏微分方程式に関する比較定理の証明を完成する.このような定理に基づき,反射壁を持つ分数冪確率偏微分方程式の解の構成を考察する. 3.混合境界条件を持つ確率熱方程式に関する長時間の振る舞いを考察する.現在,Dirichlet境界条件とNeumann境界条件について時間の振る舞いが研究されたが,混合境界条件の場合は研究されていないので,調べてみたいと思う.
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Causes of Carryover |
当初計画で見込んだよりも,安価で研究が遂行できたため,次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額はH27年度請求額とあわせて,ノートパソコンと確率解析の専門書を購入する予定である.また,研究集会への参加および,確率偏微分方程式に関わる専門家を招聘し,情報交換を行うことを予定している.
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Research Products
(2 results)