2014 Fiscal Year Research-status Report
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25800062
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
松本 詔 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (60547553)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 確率論 / 表現論 / 組合せ論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題はランダム行列理論とそれに関連した問題に、表現論的な見地をもって取り組むことである。表現論と密接に関連しているランダム行列モデル、たとえばハール測度を備えたコンパクト リー群などにおいて、行列要素の分布の研究は近年Weingarten calculusにより大きく発展している。このWeingarten calculusを整備、発展させ、さらに応用に取り組むことが主な研究目的である。 本年度は近年続けていたTiefeng Jiangとの共同研究の結果を講演発表したことが主な研究実績である。円ユニタリ アンサンブル (CUE) というのは、ハール測度を備えたコンパクト リー群のことに他ならない。CUEに属するランダム行列のトレースの分布については、Diaconis--Shahshahani (1994)の結果がよく知られている。彼らの結果を一般の円βアンサンブル (CβE)まで拡張することが我々の目的であった。CUEはCβEのβ=2 の場合であり、一般にβは正の実数である。CβE に属するランダム行列のトレースについて、不等式を用いた評価を幾つか与え、それをもとに中心極限定理を証明したことが主結果である。一部の証明では Weingarten calculus も用いたが、ジャック対称多項式の理論を用いる代数的な方法を多用した。数年前のプレプリントで得られた結果に加え、より強い形の中心極限定理を得たので、それを付け加え発表することとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はWeingarten calculus と関連付けてランダム級数の研究を行なう予定であったが、大学教育等に多く時間を取られ、新しい発見を得ることが叶わなかった。しかし、関連分野に関する知識を深め、今後の見通しを立てることができたので、次年度では大きな進展が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画に基づき、引き続き研究を遂行する。今後は海外出張や研究打合せを頻繁におこなうなど、多くの研究者との交流の機会を増やしていきたい。
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Causes of Carryover |
平成26年4月より所属が変わり、新しい環境で講義や雑務などに大きく時間を取られた。また3月に予定していた出張が、自己都合で取りやめになったことも影響した。これらの理由により次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は海外出張を行うなど、多くの研究者との交流の機会を増やし、研究実施計画を遂行する。
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Research Products
(8 results)