2016 Fiscal Year Annual Research Report
On structure of random walk traces
Project/Area Number |
25800064
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白石 大典 京都大学, 情報学研究科, 講師 (00647323)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ランダムウォーク / ブラウン運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度では、3次元ループ除去ランダムウォークの領域マルコフ性が、そのスケール極限に対しても成立するかを考察した。2次元の場合は、SLEが領域マルコフ性を満たす確率過程の族となっているので、ループ除去ランダムウォークのスケール極限は領域マルコフ性を満たす。3次元の場合は、そのスケール極限の明示的な表現が今のところ得られていない状態なので、本質的な困難が生じる。最終年度ではこの困難をうまく克服し、領域マルコフ性を有することを証明するに至った。2次元の場合は、領域マルコフ性と共形不変性を満たすならばそれはSLEでなければならないという特徴づけが示されているが、3次元の場合はそのような特徴づけは知られていない。3次元の場合は2次元のような良い共形構造を有していないためである。しかしながら3次元ループ除去ランダムウォークのスケール極限の領域マルコフ性の証明が得られたことは、それの特徴づけを与える上で非常に有効に働くものと考えられる。ここでの大きな目標としては、3次元ループ除去ランダムウォークのスケール極限を含めた多くの格子モデルの極限として現れる対象を統一的に表現することである。現在のところそれは未解決の大きな問題であるが、ループ除去ランダムウォークの研究を推し進めることで、そのような統一的な表現の獲得に近づいていけるものと思われる。この方向の研究は3次元統計物理の発展にも、大きく貢献するものである。
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Research Products
(2 results)