2014 Fiscal Year Research-status Report
流体力学における偏微分方程式の解の形状に関する長時間挙動の解析
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25800070
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
岡部 考宏 弘前大学, 教育学部, 講師 (00626872)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 流体数学 / 非圧縮粘性流体 / ナビエ・ストークス方程式 / エネルギー減衰 / 漸近展開 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、非圧縮粘性流体の運動を記述するナビエ・ストークス方程式の解に対する時間大域的な挙動についての考察を行った。全空間のナビエ・ストークス流の運動エネルギーの時間減衰の解析には、解の漸近展開が有用であることが知られている。既存の研究では、初期値の一次モーメントが有界な場合に、解の漸近形状がガウス関数の一階導函数を用いて導出されている。さらにより高次の漸近展開を導出する場合には、初期値の高次モーメントが有限であることに加えて、初期値及びナビエ・ストークス流に対して、空間遠方での各点減衰が要求されていた。 そこで、本研究では、全空間のナビエ・ストークス流の定性的な性質に着目し、重み付きハーディー空間におけるナビエ・ストークス方程式の可解性を筒井容平氏との共同研究により明らかにした。この共同研究により、従来、初期値に要求されていた小ささを、よく知られているn乗可積分ノルム(nは空間次元)だけの小ささによる条件に緩和することに成功した。換言すれば、ナビエ・ストークス方程式の強解の範疇において、或る時刻で解が重み付きハーディー空間に属するという性質が、時間発展に関して保存されることを明らかにした。また、この結果の応用として、解の高次の漸近展開を初期値の積分量による条件のみで導出した。既存の研究では有界な初期値に対してのみ解の高次の漸近形が求められていたが、本研究により非有界な初期値に対しても高次の漸近展開を導出し得ることが分かり、実際そのような初期値の具体例が構成された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解の漸近形状の研究において、その漸近展開を考えることは重要である。特に漸近展開可能な初期値のクラスを、重み付きHardy空間を用いることで、従来の初期値のクラスを含む形で拡張できたことは意義深い。また、対称性を持ったナビエ・ストークス流に対して、非線形効果が影響を及ぼすような速いエネルギー減衰を引き起こす初期値の特徴付けに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
解の一次展開について初期値のクラスの一般化を目指す。特に速い減衰と圧力の関係を明らかにし、その時間空間における形状の解明を目指す。またBrandolese等により導入された流れの対称性条件について、その精密化と緩和を目指す。
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Causes of Carryover |
研究にかかわる物品を購入した際に生じた残金の為。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の直接経費と合わせて使用する。
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Research Products
(6 results)