2013 Fiscal Year Research-status Report
変分法を用いた液適や泡の運動モデルに対する数理解析
Project/Area Number |
25800087
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
ELLIOTT Ginder 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (30648217)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | free boundary problems / droplet motion / threshold dynamics / numerical algorithm |
Research Abstract |
今年度の研究は変分原理を使った数理モデリングと該当する問題の近似解法について,解析と数値計算の両面でいくつかの実績があった. 特に,今年度の研究はエネルギーの設定で液滴と泡におけるモデル方程式を確立した.この方程式は自由境界問題型の非線形波動方程式であり,「Minimizing movements」(MM)で基づいた二つの数値解法を作成した.特に,モデル方程式に現れたデルタ関数に当たるエネルギーは,滑らかにした特性関数として近似することにより,当問題のMMを作り出す事が可能となった.更にもう一つの主となる実績として,液滴の接触エネルギーをモデル方程式に追加し,該当する自由境界条件も得ることができた.又,モデル方程式の自由境界条件を使用する事により,「Mesh refinement」を行わず,「Adaptive grid」のような近似解法を確立した.その上で,作成した近似解法により,約100個の液滴の運動に対するシミュレーションも行った. 「Threshold dynamics」(TD)に関する大きな結果としては,慣性を含む新しいアルゴリズムを見つけ,このアルゴリズムが双曲型平均曲率フローをオーダーtで近似することが解析できた上で,該当する近似解法により,振動しながらシャボン玉のような運動に対する数値実験が可能となった.更に,形式的な解析により,TDにおける接触角度をコントロールすることが可能となり,これに当たる近似解法も作る事ができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究目的はモデル方程式と近似解法の作成である為,以下の理由でおおむね順調に進展している. モデル方程式の解析と数値計算により,液滴運動に対する様々な現象を再発しながらも,エネルギーの解析によりそれぞれの原因が分かってきた.これにより本研究では,モデル方程式のエネルギーから現れた自由境界条件を使用し,液敵・泡の止まった形状を得る事ができた.又,この「inhomogeneous」接触エネルギーをMMに加えると,止まった形状は非対称であることが判明し,本研究では数値実験によりこの発想を確認することができた.中でも,外力を与えられた小さな複数の液滴の運動においては,互いに分裂や合併をしながら納まった形状のパターンが,液敵のように一瞬で変わる現象を数値計算により再現する事に成功した.又,数値解析においても,予想した通り作成したMMのアルゴリズムは,自由境界型の体積保存条件付き発展方程式の解を自然的に計算できることを示した. 「Threshold dynamics」の研究においては,困難と思われていた双曲型アルゴリズムを手に入れた事は革新的な一歩である.このアルゴリズムにより,慣性を持つマルチフェーズ加速度界面運動を計算することが可能となり,振動している界面の様々な応用へと繋がる扉を開ける事ができた.更に,マルチフェーズ体積保存条件付き平均曲率フローにおいては,各相の体積における誤差はMMの「Penalty parameter」のルートで制約されていることが明確となり,数値のテストにより確認する事もできた.又,接触角度をコントロールするアプローチは,数値実験により定性的に有効であり,「hydrophobic」液滴を数値的に表現する事が可能となった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究はMMの収束性や3次元のアルゴリズム作成を目指し,今までに作成した近似解法を利用することにより複雑な障害物上における液滴運動に応用したいと考えている.3次元TDの場合,大きな課題としては界面の形状を見つけるアルゴリズムが必要である.それにより,拘束された運動の実際の数値計算が可能となる. 又,参考研究者の発表による各相の表面張力を指定する方法を取り入れ,本研究のアルゴリズムに適応する事により,各相の表面張力をコントロールすることを目指している.更には,マルチフェーズフローの拘束された動きのアプローチを適応する事により,双曲型TDアルゴリズムにおける体積保存条件が追加された界面運動も確率したいと考えている.特には,界面の形状を見つけ,全ての相における体積の計算が可能となり,ぺナルティー項をつけたMMの解析を進めたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
金沢大学までの予定していた旅費がかからなかったため. トナーおよびSSDストレージ,又は数理ソフトウェアを購入する予定です.
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Research Products
(10 results)