2013 Fiscal Year Research-status Report
数理生物学に現れる差分方程式のLotka-Volterra方程式を用いた研究
Project/Area Number |
25800095
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
今 隆助 宮崎大学, 工学部, 准教授 (10345811)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Lotka-Volterra方程式 / Leslieモデル / 一回繁殖型 / 差分方程式 / 大域漸近安定性 |
Research Abstract |
数理生物学は,生物現象や生命現象を数理モデル化し,得られた数理モデルの理解を通じて,現象の理解を目指している.このような研究で提案される数理モデルは,微分方程式や差分方程式などの力学系によって記述されることが多い.そのため,数理生物学の発展には,力学系の性質を理解するための数学の発展が欠かせない.本研究は,数理生物学では頻繁に登場するが,微分方程式と比較して解析手法の少ない差分方程式に焦点を当てた.特に,一回繁殖型Leslieモデルと呼ばれる差分方程式の研究に取り組んだ.この数理モデルは年齢構造を考慮した個体群動態を記述する数理モデルで,Bulmer (1977)以来多くの研究者により研究されてきた.そして,多様な振る舞いを呈することが数値計算により分かっている.Cushing (2009)およびDiekmann and van Gils (2009)は一回繁殖型Leslieモデルが大域漸近安定な正平衡点を持つための条件を予想した.特に,Diekmann and van Gils (2009)は一回繁殖型Leslieモデルから,形式的にLotka-Volterra方程式が導出できることを明らかにしている.そこで,本研究はこの近似手法に,常微分方程式の初期値問題に関する古典的な数値解析手法を応用することにより,近似の数学的な正当性を与えた.このことにより,Cushing (2009)およびDiekmann and van Gils (2009)の予想が正しいことを証明した.この結果は,導出されたLotka-Volterra方程式の漸近挙動を見ることにより,より複雑な一回繁殖型Leslieモデルの挙動を明らかにできることを示唆している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の当初の計画通り,一回繁殖型Leslieモデルの正平衡点の大域漸近安定性に関する未解決問題を解決することができた.そのため,本研究はおおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り1年目の研究を遂行することができた.そのため,当初の計画通り,2年目はLotka-Volterra方程式によって形式的に近似できる結合型の一回繁殖型Leslieモデルに対しても,同様の解析手法を応用していく.
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Research Products
(3 results)