2014 Fiscal Year Research-status Report
すばる超広視野撮像カメラ(HSC)で探るアンドロメダ銀河ハローの構造と形成
Project/Area Number |
25800098
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 幹人 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (80572057)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 銀河考古学 / 光学赤外線天文学 / 銀河形成 / 宇宙物理 / アンドロメダ銀河 / すばる望遠鏡 / Hyper Suprime-Cam / 近傍銀河 |
Outline of Annual Research Achievements |
M31ハローの広域をすばる望遠鏡Hyper Suprime-Cam(HSC)を用いて観測するインテンシブプログラム(PI:千葉柾司)が採択され,2015年9月および11月に観測を行った.しかし,9晩の観測時間が割り当てられたものの,悪天候のため本来の目的の観測できたのは2日だけで,予定では23視野をHSC観測する予定であったが実際には2.5視野だけであった.取得できたデータに対して,HSCパイプラインを用いて一次処理を行い,IRAFで測光解析を行った.作成した測光カタログから色等級図を作成し,赤色巨星分枝星とRed Clump星を選び出し,それぞれの星密度地図を作成したところ,すでにカナダ・フランス・ハワイ望遠鏡で発見されていた恒星ストリームの構造に加えて,よりフェイントな構造を検出した.以前の観測によって銀河のハロー部に発見されていた恒星ストリームの数は,現在の冷たい暗黒物質モデルから予想される恒星ストリームの数に比べて,2倍以上少なかったが,今回のフェイントなストリームの発見は,その矛盾を解決する可能性もあり,今後もサーベイを進めていく予定である. また,別途HSCプロポーザルが採択され,研究を進めていた銀河群NGC4631-NGC4656の観測データから,NGC4631の周辺部にたくさんの矮小銀河を新たに8個発見した. HSCパイプラインでは,銀河本体のスカイ引きがうまくいっていなかったため,その点を改善できるように自前のスクリプトを組み合わせてデータリダクションをやり直したところおおむねうまくリダクションできた.解析の結果,発見した矮小銀河は,光度―有効半径の関係が,局所銀河群矮小銀河で見られる関係と類似していることから,他の銀河群銀河の矮小銀河も局所銀河群の矮小銀河と同じ様な形成史をしている可能性があることを示唆することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
M31ハローの研究に関しては,予定していた観測領域が天候不順のため当初の2割程度しかHSCで観測できなかったため研究の進展は遅れている.しかしながら,もう一方の近傍銀河(NGC4631グループ)の研究では,矮小銀河を新たに発見しただけでなく,二度目の観測では非常によいデータが取得できたため成功したため順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
M31ハローの研究に関しては,天候によって観測領域が不十分であることから,さらに広範囲のM31ハローの観測を再提案することによって,データの取得を目指す.現在のデータからは,新しく発見した密度超過領域の恒星種族(年齢や金属量分布など)を調べる. 一方,相互作用が進む銀河群(NGC4631グループ)の研究では,新しく矮小銀河を発見した者の,観測条件が悪かったため,当初予定していた目標(ハローの恒星を1つずつ観測すること)を達成するのに十分な観測ができていなかった.そこで,再度観測提案を行ったところ,採択されることに成功し,2015年3月に2晩の観測時間を得て良いデータが取得できた.今後はそのデータ解析を進めて,ハローの構造(密度分布や恒星種族など)を調べる.
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[Journal Article] Global Properties of M31's Stellar Halo from the SPLASH Survey. II. Metallicity Profile2014
Author(s)
Gilbert, Karoline M.; Kalirai, Jason S.; Guhathakurta, Puragra; Beaton, Rachael L.; Geha, Marla C.; Kirby, Evan N.; Majewski, Steven R.; Patterson, Richard J.; Tollerud, Erik J.; Bullock, James S.; Tanaka, Mikito; Chiba, Masashi
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Journal Title
The Astrophysical Journal
Volume: 796
Pages: 1-20
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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