2015 Fiscal Year Annual Research Report
太陽彩層を紐解く:スペース観測で迫る彩層プラズマ運動と磁場構造
Project/Area Number |
25800120
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡本 丈典 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 研究員 (70509679)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | プロミネンス / 回転 / 太陽観測衛星ひので / 太陽観測衛星IRIS / 彩層 / 磁場 |
Outline of Annual Research Achievements |
「ひので」「IRIS」の共同観測によるプロミネンスのデータを解析し、プロミネンス中に突如出現する、束状になった複数の微細構造について調べた。この構造と現象の特徴として、個々の微細構造は水平に細長く、既存のプロミネンスより明るく光りながら次々と鉛直上昇することが挙げられる。「ひので」による動画から、この 2次元的運動の軌跡は正弦波形を示し、その見かけの上昇速度は最大 55 km/s、周期は 390秒程度であった。「IRIS」による観測から、微細構造の束の下端では奥向きのドップラーシフトが、上端では手前向きのドップラーシフトが捉えられた。その最大速度はどちらも 40 km/s 程度で、これらの観測事実を踏まえると、これはプロミネンスの回転を捉えたものであると考えられる。しかし、この現象発生時、既存のプロミネンスの成分(ほぼ静止速度)は現象発生の前後でも「IRIS」のスペクトル上で変わらず存在しており、これは新たな成分がスペクトル上の青側、赤側にそれぞれ出現したことを意味する。さらに、この現象はフレアやプロミネンス噴出とは関係がない。これらを総合すると、これはプロミネンス全体が回転しているのではなく、その一部のみの現象であると考えられる。そして、これらの観測結果を全て説明するものとして、緩くねじれたプロミネンス磁場と外部の直線的な磁場が磁気リコネクションによりつなぎ替わり、プロミネンスのねじれが部分的にほどけていると解釈するのが最もふさわしいという結論に達した。この研究は、定常状態でのプロミネンス磁場のねじれを明らかにした点で、プロミネンス噴出などに関する他の研究とは異なり、意義深いものである。
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Research Products
(12 results)