2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25800124
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
谷口 億宇 筑波大学, 計算科学研究センター, 研究員 (60529064)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 原子核構造 / 変形状態 / クラスタ相関 |
Research Abstract |
原子核の励起状態の構造について、変形とクラスタ相関を重点的に調べた。また、実験研究者や原子核反応理論の専門家との連携が進んだ。主な進展は以下の5項目であった。 1. 42Ca の励起状態の多彩な変形構造の共存と、そこへのαクラスタ相関を明らかにした。sd 領域核の変形状態におけるクラスタ相関については、これまで主に陽子数と中性子数の等しい核の理解が進められてきたが、この研究により陽子数と中性子数の異なる 42Ca についても、変形状態にクラスタ相関が重要であることを示した。これらの内容は論文にまとめて国際誌に投稿した。 2. クラスタ間距離拘束エネルギー変分計算により、原子核間断熱ポテンシャルを導出する方法を提案した。それを、低エネルギー核融合断面積の導出に応用した。この内容は論文にまとめて国際誌に掲載された。 3. 33-36S 同位体に超変形状態が存在することを示した。また、その超変系状態には 16O + 16O クラスタ構造が現れ、さらに残りの余剰中性子はその 16O + 16O 芯の作る分子軌道に入っていることを示した。この研究は超変系状態などを探索しているガンマ線分光実験の研究者と連携して進めた。 4. 中性子過剰不安定核である 43S に扁長-扁平-非軸対称変形状態が共存することを示した。この内容は論文にまとめ、国際誌に掲載された。 5. クラスタ構造成分と移行反応断面積との関係について、原子核反応理論の専門家との共同研究を開始した。クラスタ構造の理論的な研究は進められてきたが、その実験的検証法の理解は不足していた。この研究では、クラスタ移行反応断面積から、原子核表面におけるクラスタの分布を導出することを目的としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験研究者や原子核反応理論の専門家と連携し、質量数 30-40 領域について安定核だけでなく不安定核の理解が深まった。質量数 40 を超える領域についての研究の進展は今後さらに進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
筑波大学計算科学研究センターに新しく導入された計算機の利用申請が受理された。今後は、それを用いた大規模計算により、さらに効率的に研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
モニタを購入予定であったが、モデルチェンジの都合で次年度に購入することにした。 モニタを購入予定。
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