2013 Fiscal Year Research-status Report
宇宙線エマルションチェンバーのノンバイアス・大統計解析手法の開発
Project/Area Number |
25800142
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森島 邦博 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 研究員 (30377915)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 宇宙線 / 原子核乾板 |
Research Abstract |
宇宙線エマルションチェンバーのノンバイアス・大統計解析を行うための基礎技術の開発を進めた。高速読み取り装置S-UTSを用いて原子核乾板から読み出した3次元デジタル飛跡情報を異なるプレート間に渡り全面的に3次元接続、及びその解析を行うためのツールの整備を行った。原子核乳剤は、現像後乾燥を経て乳剤層が歪むため、その歪み量を読み出した3次元飛跡情報を用いて導出、補正を行った上で飛跡の接続を行う必要がある。しかし、原子核乾板上には原子核乾板製造時、及びその取り扱い時に付いた傷などが存在するため、その領域については正しい飛跡が読み出されず、補正情報導出の障害となる。この障害部分を認識し、周辺の正常領域から補完した値を用いる事で正しい補正値を用いた解析を全面積にわたり行う事を可能にした。また、バックグラウンドとの識別能力を向上させるために、3次元飛跡情報から得られる飛跡間の角度差と銀粒子密度の関係を用いてシグナルノイズ比の向上を行い、歪み補正量の導出、及びその後の接続処理へ反映する事で、解析する際のバックグラウンドを大幅に低減させた。更に、より広い角度範囲の解析を可能とするため、飛跡読み取り装置の大角度認識へ向けた基礎研究として、原子核乾板本体の膨潤(乳剤層を実際に荷電粒子が通過した時点よりも厚くする)及び、それに合わせた飛跡認識パラメータの最適化を進めた。これにより、認識可能な角度範囲を粒子線種によっては立体角で約10倍にする事が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大面積解析で必要なイレギュラーな領域に対処可能な解析ツールの開発と、原子核乾板本体の取り扱いによるデータクォリティの向上を進めており、これらの技術を目的とする宇宙線エマルションチェンバーへ適用する準備が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度得られた進展を元に、すでに気球で打ち上げられた宇宙線エマルションチェンバーに適用を行い、研究を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は基礎ツール開発に重点を置き、実際の宇宙線エマルションチェンバーの解析を次年度からとしたため。 宇宙線エマルションチェンバーを解析する際の打ち合わせ費用、解析システム構築、等に用いる。
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