2014 Fiscal Year Annual Research Report
極低エネルギー入射核融合反応で観測された融合阻害現象の微視的機構解明
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25800145
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
市川 隆敏 京都大学, 基礎物理学研究所, 研究員 (00370354)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 原子核理論 / RPA法 / チャネル結合法 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度においては、研究計画が当初予定よりも早く進行し、質量対称系16O+16Oや40Ca+40Caにおける二体乱雑位相近似(RPA)計算を行うコードを完成させ、計算を完了する事が出来た。またこれらの系で実際にチャネル結合計算を行って、融合断面積を計算して、実験で観測されている極低入射エネルギーでの融合断面積の急激な落ち込みをよく再現する、減衰因子のパラメータを決定した。その減衰因子と二体RPA計算で得られたB(E3)遷移強度の減衰との比較を行った。比較の結果、二体RPA計算で得られた二つの核が互いに近づいた時のB(E3)の減衰は、融合断面積の急激な落ち込みを再現する減衰因子とよく相関している事を示す事が出来た。 今年度はさらに研究を進展させ、極低入射エネルギー側でよりはっきりと融合断面積の急激な落ち込みが観測されている、質量非対称系16O+208Pbでの二体RPA法への拡張を行った。まず16O+208Pb系で用いる平均場ポテンシャルの検討を行った。質量非対称な系では、平均場ポテンシャルの底の値やスピン軌道力が二つの核で大きく違うために、それらの値の非連続が二つの核の中間地点で起こってしまう。そこでこれを解消するために、それらの値を滑らかに接続する方法を開発した。次に質量非対称系ではパリティ量子数が良い量子数にならないため、パリティが混ざったRPA計算を行う必要があり、そのためのコードの拡張を行った。またパリティ混合したRPA計算を行うため、どの固有値解がspuriousな並進運動ゼロモードを正しく判定して、そのエネルギーをゼロにする必要がある。そのための方法の開発を行い、コードを完成させた。
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