2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25800154
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐合 紀親 九州大学, 基幹教育院, 助教 (50540291)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ブラックホール摂動法 / 重力波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ブラックホール摂動法を用いて、相対論的連星の運動とそれに伴う重力波放射について明らかにすることである。これを達成するためには、ブラックホール時空を運動する質点を考え、質点が引き起こす重力場摂動とそれに伴う重力的反作用力を導出する必要がある。 重力場摂動の計算において、単極子、双極子成分に非物理的な線型成長モードが現れることが問題となっていた。シュバルツシルト時空中を円軌道する場合の解析により、適切な初期条件を与えることで成長モードを軽減できることが分かった。平成27年度は、束縛軌道と非束縛軌道の境界軌道である、marginally bounded zoom-whirl(MBZW)軌道について同様の解析を行い、この場合でも適切な初期条件を与えることが成長モード抑制に繋がることを示した。この結果から、束縛軌道か非束縛軌道かに関わらず、適切な初期条件により非物理的な成長モードを軽減できると推察される。 これまでに、相互作用ハミルトン関数の時間平均で運動方程式を簡単に記述できるゲージが存在することを明らかにした。しかし、再検討の結果、軌道の回転振動数や秤動振動数が縮退するような特殊な場合の議論が厳密ではないことが明らかになった。この問題については、現在も検討中である。平成27年度で本研究期間は終了を迎えるが、今後も継続して検討する予定である。 また、ゲージ不変量を用いたブラックホール摂動法とポストニュートン法の比較についても検討を行った。シュバルツシルト時空中の楕円軌道に注目し、ゲージ不変量の一つである赤方偏移関数をブラックホール摂動法で数値的に計算し、それがポストニュートン法の予言と良く一致することを確認した。さらに、高精度の数値計算の結果から、未知のポス トニュートン係数の予測値を評価した。これらの研究は、連星の運動の解析的モデル構築の足掛かりになると期待される。
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Research Products
(3 results)