2014 Fiscal Year Annual Research Report
超弦理論におけるモジュライ場の現象論・宇宙論的側面の研究
Project/Area Number |
25800169
|
Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
檜垣 徹太郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 博士研究員 (10629059)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 素粒子論 / 素粒子現象論 / 弦理論的現象論 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も引き続き、主に弦理論由来のアクシオン場に注目しました。 まず、重いアクシオン場がインフレーションを引き起こすインフラトンとなるような可能性を考えました。この背景について説明します。2014年前半、BICEP2の宇宙背景輻射(CMB)の観測実験により原始重力波の検出が確かめられた、と報告がありました。しかしながら2014年後半、重力波の検出結果の確からしさが、CMBに存在する前景放射の見積もりのせいで減りました。この事は、2015年初頭にはPlanck衛星による同様の観測実験とも無矛盾です。 これらを受けて2014年度前半は、大きな強度の原始重力波を放出するアクシオンインフレーション模型を考えました。例えば、コサイン型のポテンシャルを持つインフレーション模型で、特に我々は複数のアクシオン場を使って考えました。ポテンシャルのパラメータをランダムに振って、どのようなポテンシャル構造が得られ、どの程度の確率で観測と無矛盾なインフレーション模型が得られるかを調べました。この時、沢山の、例えば100個ほどのアクシオンが存在すれば、高い確率で観測と無矛盾な平坦なポテンシャルが得られることがわかりました。2014年度後半は、重力波の強度が弱い模型を考えました。1つのアクシオン場を用いて、ポテンシャルがヤコビの楕円関数のような、複数のコサイン関数を用いた場合、余弦波の打消しにより非常に平らなポテンシャルが得られます。物理的には弦理論のインスタントンの足し上げでそのような効果が得られる可能性があります。 この他にも、軽い暗黒物質アクシオンが崩壊して、観測されているX線を放出するなどの宇宙論を議論しました。 またアクシオンと無関係に、重い右巻きニュートリノが暗黒物質になる可能性や、バリオン創生をRパリティが敗れた超対称性理論で考えました。
|
Research Products
(12 results)