2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25800176
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
橋坂 昌幸 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (80550649)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 量子ホール効果 / 分数電荷準粒子 / 朝永ラッティンジャー液体 / 電流ゆらぎ相互相関 |
Outline of Annual Research Achievements |
分数量子ホール系における分数電荷準粒子のダイナミクスについて、電流ゆらぎ相互相関測定という新しい測定手法を用いて研究を行った。最大の目標である分数電荷準粒子の分数統計性の検証に向けて、①測定系の開発、②分数電荷準粒子生成の新手法考案、③分数電荷準粒子のトンネル現象のメカニズム提案、④トンネル準粒子のコヒーレンスを測定する新手法の考案、の4つの研究成果を得ることに成功した。 ①測定系の開発(主にH25年度):試料中を流れる複数の電流間のゆらぎ相互相関を測定する新規手法を確立した[Hashisaka et al., Rev. Sci. Instrum. 2014]。これは固体中の電子相関を測定する斬新なテクニックであり、今後、量子輸送現象の研究分野の発展に大きく寄与するものである。 ②分数電荷準粒子の生成(主にH25年度):整数量子ホール系中に局所的な分数量子ホール系を形成し、そこへの電荷注入によって分数電荷準粒子を生成する新手法を発見した。この手法は、様々な量子ホール系の接合の形成を可能にし、準粒子生成・消滅のメカニズム探索へ利用できる。 ③分数電荷準粒子のトンネル現象のメカニズム(主にH26年度):局所分数量子ホール系をトンネルする準粒子のダイナミクスを観察し、トンネル現象に量子ホール端の1次元チャネルの朝永ラッティンジャー液体的性質が重要なメカニズムを担っていることを確かめた[Hashisaka et al., Phys. Rev. Lett. 2015]。 ④トンネル準粒子のコヒーレンス測定(主にH26年度):電流ゆらぎ相互相関測定を用いて、量子ホール端の一次元チャネルを伝搬する準粒子のコヒーレンスを評価する新規手法を考案した(論文準備中)。分数統計の検証に向けたデバイス設計に向けて、本手法を用いた分数電荷準粒子の輸送特性評価を行っている。
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