2015 Fiscal Year Annual Research Report
振動対流の同期現象に対する位相記述によるアプローチ
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25800222
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
河村 洋史 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 数理科学・先端技術研究分野, 研究員 (90455494)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 数理科学 / 非線形科学 / 自己組織化 / 同期現象 / 位相縮約法 / 振動対流 / 共通ノイズ / 振動子ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、生命リズムの数理モデルである振動子ネットワークの共通ノイズ同期を位相縮約法により解析した。特に、この共通ノイズ同期に対する最適化手法を開発した。いくつかの具体例を数値計算することにより、この最適化手法の妥当性も確認した。本研究成果は、平成25年度に実施した、振動対流の共通ノイズ同期とその最適化に関する研究で得られた成果の一般化とみなすことができる。 研究期間全体を通じた主要な研究成果は次の通りである。先ず、(通常の)Hele-Shaw セルにおける振動対流の位相記述法を定式化した。この手法は無限次元力学系におけるリミット・サイクル解の位相縮約法である。特に、各点・各時刻に加えられた弱い摂動に対する振動対流の(時間的な)位相応答を定量化する位相感受性を理論的に導出した。 次に、水平方向に周期的なシリンダー形状のHele-Shaw セルにおける振動対流の位相記述法を定式化した。この系における振動対流は「空間に関する連続並進対称性の自発的な破れ」と「時間に関する連続並進対称性の自発的な破れ」という2つの「位相」を持つリミット・トーラス解によって記述される。つまり、この手法は無限次元力学系におけるリミット・トーラス解の位相縮約法である。特に、各点・各時刻に加えられた弱い摂動に対する振動対流の空間的・時間的な位相応答を定量化する2つの位相感受性を理論的に導出した。 以上のように、本研究の成果である、振動対流の位相記述法は、従来の位相縮約法の大幅な一般化であり、学術的に大きな意義があると考えている。
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Remarks |
第10回(2016年)日本物理学会若手奨励賞受賞 http://www.jamstec.go.jp/j/jamstec_news/award/2016.html#20160325
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