2014 Fiscal Year Research-status Report
高次構造を基本単位とした多相系高分子の運動モデルの構築
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25800235
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
畝山 多加志 金沢大学, 自然システム学系, 助教 (10524720)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高分子 / 高次構造 / 発泡体 / セル構造体 / 延伸 |
Outline of Annual Research Achievements |
高分子の高次構造として、高分子発泡体のセル構造と延伸した結晶性高分子のネットワーク構造に着目して研究を行った。高分子発泡体はミリメートル程度の大きさの泡を含む高分子固体であり、その構造はセルと呼ばれる単位が基本となる。一方、結晶性高分子は延伸すると内部の構造が破損し、ある程度の大きさの構造がネットワーク状に結合された構造に変化すると考えられている。この構造は個々の高分子鎖や結晶ラメラ構造より大きく、延伸した結晶性高分子における基本単位となると考えられる。 高分子発泡体については、発泡の程度の異なる種々の高分子発泡体を調製し、圧縮試験を行うことでセル構造の崩壊と力学的性質の関係を詳細に調べた。発泡体の標準的な理論ではセルの強度はほぼ一様であると仮定されており、その結果発泡体が崩壊している最中の応力はほぼ一定となるとされている。しかしながら、我々の実験データでは発泡体の崩壊の最中の応力は一定ではなく、崩壊の進行とともに応力が増加する傾向が見られた。これは発泡体内部のセルの強度が一様ではないことを反映しているものと考えられる。得られた実験結果をもとに、セル構造の分布・分散と力学的な性質を結びつけられる簡易化したモデルを考案した。 延伸した結晶性高分子については、延伸した試料を高温下におくことで収縮させ、その収縮の様子を詳細に調べた。延伸試料作成の条件や収縮の条件を変化させることで、どのような構造やパラメータが収縮に寄与しているのかを調べた。その結果、延伸した高分子固体の収縮は条件によらずほぼ 2 段階の緩和過程として記述でき、緩和過程における運動単位は活性化エネルギーの低い、比較的大きな構造であることがわかった。また、収縮を駆動する力はネットワークの持つゴム弾性的な力であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題を開始してから新規に見いだした現象についての研究は概ね順調に進行している。その一方、当初予定していたブロックコポリマーミセルの粗視化モデルについては、理論モデルの構築はほぼ終了しているもののシミュレータの開発があまり進んでおらず、当初計画より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
高分子発泡体、延伸した高分子固体についての研究は現在の研究内容に基づいて引き続き研究を行う。また、当初の予定より遅れているブロックコポリマーミセルの粗視化モデルについては、なるべく早くシミュレータの開発を完了する。
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Research Products
(7 results)