2013 Fiscal Year Research-status Report
北海道下におけるより詳細な島弧衝突過程とそれに伴う太平洋スラブの変形機構の解明
Project/Area Number |
25800243
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention |
Principal Investigator |
北 佐枝子 独立行政法人防災科学技術研究所, 観測・予測研究領域 地震・火山防災研究ユニット, 特別研究員 (10543449)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 地震波減衰構造 / 日高衝突帯 / 北海道 / 島弧-島弧衝突帯 / 内陸大地震 / 太平洋スラブ |
Research Abstract |
北海道全域下の地震波減衰構造の推定を行い,地震波速度構造で見られた異常構造を,地震波減衰構造からも確認した.すなわち,日高地方下で異常に沈み込む地殻物質と解釈される低速度域を,低減衰域としてイメージングされた.当該地域の2つのM7クラスの内陸大地震は,低減衰域と高減衰域の縁に分布しており,それらの場所は速度構造の急変域(Kita et al., 2012)にも対応していた. 北海道東部と南部のマントルウエッジ内では,スラブ上部表面に平行で深部から火山列下のモホ面付近に伸びる高減衰域を確認した.この空間分布は,Zhao et al. [2013]による北海道下マントルウエッジ内の低速度領域の空間分布と対応するため,マントル内の上昇流と考えられる.一方,大雪山系の西から石狩低地帯の下のマントルウエッジ領域では,やや減衰が大きい傾向があるものの,その傾向は顕著でなかった.この場所は,活火山及び第四紀火山の分布空白域[中川ほか, 1995]と一致していた.上記減衰構造の解析結果は論文に纏め,国際誌(JGR)に投稿した. 今年度7月中旬から8月中旬には,研究協力者のUC DavisのEberhart-Phillips博士の下に1ヶ月滞在し,Vp/Vs比を直接もとめる地震波速度構造のイメージング法の解析方法を習得した.また減衰構造の解析結果の議論を発展させることができた. 7月上旬には北海道日高地方に出向き,研究協力者と共に「北海道下の地下構造に関する勉強会」(開催日:2013年7月6日,口頭発表者数1名,参加者22名,様似町で開催)を開催した.これは同時期に様似町で開催されていた静岡大学,新潟大学および東京大学の連合チームによる幌満巡検(橄欖岩を学ぶ巡検)に合流して行った.それにより,日高衝突帯における地震学・地質学・岩石学間での学際的な意見交換や議論を行うことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,共同研究者と共に日高地方での現地勉強会(研究集会)の開催およびUC Davisにて1ヶ月間の在外研究を行うことができ,当科研費研究を遂行するのに必要な体制を立ち上げることができた.また,UC Davisの研究者から紹介された近隣の大学および研究機関であるUC BerkeleyおよびUSGSの研究者との議論することができ,本科研費研究を遂行するにあたり非常に有益な研究協力体制を築くこともできた.
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Strategy for Future Research Activity |
本科研費による研究成果を纏め投稿中である論文が受理されるよう,査読者・研究協力者の意見を参考にして論文の内容を改善させたいと考えている.来年度は産前産後休暇・育児休暇を予定しており,研究の進展が遅れる可能性がある.その場合は,計画している研究内容を再来年度に回す可能性がある.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
投稿中の論文が受理されなかったので,予算が余った. 投稿中の論文が受理された場合,雑誌投稿料を次年度予算にて支払う予定である.
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Research Products
(2 results)