地震波動場の相反定理を用いた活火山火道の詳細イメージング

2013 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 25800244
• Research Category: Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
• Research Institution: The University of Tokyo
• Principal Investigator: 青木 陽介 東京大学, 地震研究所, 助教 (90376624)
• Project Period (FY): 2013-04-01 – 2016-03-31
• Keywords: 地震波干渉法 / 地下構造 / 活火山 / 火山性地震

Research Abstract

本研究計画初年度は，活火山の内部構造を高い空間分解能で理解する前段階として，活火山で発生するなるべく多くの火山性地震の震源決定を高精度に行うためのツール開発，および実データへの応用を主とし、対象とする火山についての地震カタログを作成することであった．ツール開発に関しては，可能性のあるいくつかのアルゴリズムについてその有効性を検証した．本研究計画では，そのうち観測記録から自動的に生成された地震カタログを用いて，観測された波形の相関をとることにより，より多くの地震の震源を決定することが最も有効なアルゴリズムであるという結論に達したが，アルゴリズムの実装は，完成にいたっていない．そのため，開発された手法を実データに応用して高精度の地震カタログを作成するという本研究計画の初年度の目標を達成することはできなかった．
本研究計画の遂行の過程で，特に火山地域においては地震波の散乱によって生成されるコーダ波をうまく利用する（散乱波トモグラフィ）ことによっても高い空間分解能の地下構造を求めることができるという着想にいたった．地震波動場の相反性を用いた本研究計画においては，地震が多く発生する地域において高い空間分解能の地下構造を求められることが期待されるが，散乱波トモグラフィはより広域で高い空間分解能の地下構造を求められることから，今後は両者の手法を併用することにより，活火山浅部の高空間分解能の地下構造を求めていきたいと考える．

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究計画の初年度では，活火山で発生するなるべく多くの火山性地震の震源決定を高精度に行うためのツール開発を行うことになっていた．アルゴリズムの着想には時間がかからなかったが，実装に時間がかかってしまった．具体的には，計算時間を現実的なものにするためのアルゴリズムの開発に今も戸惑っている．

Strategy for Future Research Activity

現在までの達成度は，計画よりもやや遅れていると認識していると考えているが，研究の方向性としては大きく外れていないと思われるので，研究計画通り，震源決定のツール開発・高精度カタログの生成を経て，地震波動場の相反性を用いて，地震が多く発生する火道付近の地下構造を高空間分解能で求める研究を進めていきたい．
また，本研究計画の遂行の過程で着想した散乱波トモグラフィも併用することにより，火道付近だけでなく，活火山の山体全体の地下構造を高空間分解能で求める可能性についても追求していく予定である．

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

国内外の研究者との共同研究のために計上していた人件費・謝金が，計画の遅れにより使われなかったことが，次年度使用額の生じた最大の原因である．また，初年度予定していたパソコンの購入を見合わせ次年度以降の購入にしたことも，次年度使用額の生じた原因のひとつである．
本研究計画の基本方針に大きな変更はないので，当初の研究計画に従い経費支出を執行していく予定である．