2013 Fiscal Year Research-status Report
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25800250
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山田 耕 早稲田大学, 政治経済学術院, 助教 (60424793)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ダスト / 重力相互作用 / 惑星移動 / ガス円盤 / 地球質量 / トルク |
Research Abstract |
本研究では、地球質量程度まで成長した天体がガス円盤とダストそれぞれの重力相互作用によってどのような影響を受けるのかについて調べる。特に、天体の軌道変化の様子に着目して研究を進めている。質量を持つ物体同士は重力を介して角運動量を交換し、その軌道を変化させる。地球軌道付近上にある円盤のガス量は地球質量程度であり、地球質量程度の天体はガス円盤ともっとも強く重力相互作用を起こす。一方で、ダストは今まで天体が成長した時期にはほとんど円盤内に残っていないだろうと考えられ、重力相互作用の要素から無視されてきた。しかし、最近の研究は円盤外側からのダスト移動によって内領域にダストが供給される可能性を指摘している。ダストを考慮すると、ダストそれ自身が天体に与える直接的な効果と、ガスとダスト間の摩擦によってガス密度分布が変化し、天体とやり取りするトルク量が変わる間接的な効果が発生する。これら2つの効果が、ダスト量やダストサイズでどのように変わるのかを明らかにしていく。 上述の角運動量のやり取りは天体周りのガス・ダストの密度分布と密接に関係しており、その関係は非線的である。そのため、本研究では数値計算法を使い、ガスとダストに関する流体方程式を解くことでこの角運動量のやり取りの様子を見ていく。平成25年度は計算に入り込む人工的なエラー、すなわち、計算分解能や計算領域の広さに起因するエラーについてチェックを行い、その影響を評価した。また、計算効率を上げるコードの開発も同時に進めた。 領域の広さについては、角運動量のやり取り量に対して最大で10%未満の変化を与えることがわかった。次に、トルク量推定に対するメッシュ数の影響は領域の広さよりも影響が大きいことがわかった。現在、大規模計算でもある程度の時間で終わるように計算コードをバージョンアップしているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ガスやダストが天体にかけるトルク量推定に対する人工的な影響は平成25年度の研究でおおよそ理解することができた。メッシュ数決定がまだ完全にできている訳ではないが、普通のワークステーションで計算できるメッシュ数でおさまり、スーパーコンピュータを使わなくとも本研究を進めることができる。このことから、今後計算コードに大きな変更を加える必要はなく、メッシュ数決定後すぐに次の段階の研究(パラメータサーベイ計算)に取り掛かることができる。このような理由から、当初の予測通りに研究が進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、ダスト量、ダストサイズを色々と変えて、計算を行い、上述したように天体にかかるトルク量へのダストの影響を明らかにする。一方で、この研究はガス円盤に対して断熱、つまり、輻射などの熱輸送がないという簡単化を仮定しているが、この仮定は発生するトルク量の大きさを変化させる可能性がある。最初に、計算や解析のしやすい輻射なしの円盤で行い、物理的に何が起きているのかを理解する。その後、輻射を入れたより現実的な円盤などで同じような計算を行い、その差を吟味していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品購入時において比較的安く販売しているところから購入したり、円相場の変動に伴い、洋書購入を一部見送ったため、余りが出たと考えられる。 計算手法に関する洋書を1冊購入したいと考えており、その費用の一部に充てる。
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Research Products
(4 results)